2005年 冬

不動産による代物弁済

Question

当市では、国民健康保険法65条3項に基づく徴収金として、市内の保険医療機関(債務者)に対して多額の債権を有しており、当該債権を担保するため物上保証人が所有する不動産に当該債権を被担保債権とする抵当権を設定していますが、債務者から物上保証人が担保提供している不動産で代物弁済をしたい旨の申し入れがありました。しかし、地方自治法の規定からすれば、代物弁済は行えないものと考えてよろしいでしょうか。

Answer

保険医療機関等が偽りその他の不正の行為によって療養の給付に関する費用等の支払いを受けたときは、当該保険医療機関に対し、その支払った額につき返還させるほか、その返還させる額に100分の40を乗じて得た額を支払わせることができ(国民健康保険法65条)、この徴収金は、地方自治法231条の3第3項に規定する、法律で定める歳入とされています(国民健康保険法79条の2)。この結果、当該歳入並びに当該歳入にかかる手数料及び延滞金について、地方税法の滞納処分の例により、処分することができ、債務者が納期限までに徴収金の支払いを行わない場合には、滞納処分を行うこととなります。

ところが、本件においては、債務者は、代物弁済による納付を申し出ているわけですから、通常の方公共団体の徴収金の収入手続によることとなります。すなわち、地方公共団体の長の権限で行う徴収行為としてではなく、納入義務者が納付する現金を受領する行為である収納行為となります。

収納行為の場合には、現金で収納するのが原則ですが、住民の便宜及び地方公共団体の事務の簡素化・効率化の見地から、地方自治法231条の2は、証紙による収入、口座振替による収入を規定しています。かかる地方自治法の規定からすれば、現金による収入以外の収入の方法は、法律で認めている場合に限られるものと考えます。したがって、債務者が代物弁済により徴収金を納付することはできませんから、債務者は抵当権を設定してる不動産を任意売却し、その代金から徴収金を貴市に支払うか、貴市が抵当権に基づく競売を申立て、競売を実行し、徴収金の納付を得るかのいずれかの手段によることとなります。

なお、債務者が、代物弁済の申し入れを行ったのは、相続税については物納が認められていることから、地方税法の滞納処分の例によるとされている徴収金についても物納が可能でないかと考えているのかもしれませんが、物納は相続税法41条により特に認められた国税の納付方法ですから、本件のような場合には適用することはできません。

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