2010年 夏

仮換地の公売と清算金

Question

市民Yが、住民税及び固定資産税・都市計画税を滞納しているため、土地区画整理事業区域内の土地(仮換地)を差し押さえましたが、全く滞納税金納付がなされません。そこで、今回、当該土地を公売に付すこととしました。

ところが、市民Yが当該土地(仮換地)を取得するに至るまでに、次のような経過があります。 当該土地(仮換地)の従前地は、Aが所有し、平成8年9月に、土地区画整理事業施行者である当市から仮換地指定を受け、同年12月1日から仮換地の使用収益を開始し、居住用住宅を新築しましたが、平成15年5月に、土地建物をYに売却しました。AとYの土地建物の売買契約書には、換地処分時に発生する清算金に関する特約条項がありません。換地処分は、平成23年頃になる予定となっていますが、未だ確定していません。

そこで、質問です。

(1)
公売を執行するにあたって、公売対象地が仮換地であることを明らかにするだけで、清算金については、特に触れないでおいてもよいでしょうか。
(1)の回答へ
(2)
公売により、仮換地を取得した者が、換地処分の名宛人となり、清算金についても、交付又は徴収の対象となるのでしょうか。
(2)の回答へ

Answer

質問(1)について

仮換地指定がなされても、換地処分がなされるまでは、従前地の登記簿しかありませんから、仮換地指定後の売買は、従前地の地番と仮換地の街区番号、符号を併記することにより、売買の対象土地を特定します。この場合には、売り主、買い主とも仮換地を売買の対象土地と認識していますから、売買価格は仮換地の評価を基準として決められます。したがって、売買契約書において、清算金の帰属について特約条項を置かなかった場合には、清算金の徴収・交付の対象となるのは、従前地の所有者となります。この点につき、最高裁判所昭和37年12月26日判決(民集第16巻12号2544頁)は、「本件売買の当事者間における関係では、買主たる上告人は、売買の目的物となつていた換地後の土地所有権を取得するのみにて足り、本件清算交付金は売主たる被上告人に帰属すべきものと解するのが至当である。」としています。

このように、清算金の徴収又は交付については、その義務者又は権利者が売り主となるのですから、公売の執行に際しては、単に仮換地であることを明らかにするだけでなく、清算金の徴収される義務、又は交付を受ける権利は、公売による取得者と仮換地指定時の所有者との関係では、仮換地指定時の所有者に属することを明記しておいた方が、後日の紛争を避けるためにもよいと考えます。

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質問(2)について

仮換地指定時の所有者と換地処分時の所有者が異なる場合には、換地処分時の所有者に対し、換地処分を行いますから、清算金の徴収又は交付の対象者も換地処分時の所有者に通知されるのが原則です。この原則通りに、清算金の徴収・交付の通知がなされると、売買当事者間で、精算行為が必要になります。

そのため、土地区画整理事業の施行者によっては、売り主・買い主連名で、売り主に清算金の通知をして欲しい旨の書面を提出することにより、直接、売り主に清算金の通知を行っていることもあります。

ご質問の公売の場合には、仮換地指定時所有者と換地処分時所有者が連名で書面を土地区画整理事業施行者に提出することは通常はないでしょうから、公売で仮換地を取得した者に清算金の通知が行くこととなります。この場合には、公売で仮換地を取得した者は、従前地所有者であったAとの間で精算をする必要が生じます。この精算を円滑に行うためには、公売により、取得者に所有権が移転した旨及び取得者との間で清算金の精算が必要になる旨を、仮換地所有者であるAに知らせておいた方がよいと考えます。

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