再就職者による依頼等の規制の適用範囲

 改正後の地方公務員法第38条の2の規定する再就職者による依頼等の規制が、平成28年4月1日から施行され、当市でも、これらの規定に基づき退職管理条例を同日付で施行しました。
 ところで、当市では、平成22年4月1日から平成24年3月31日まで、県から派遣職員Aを受け入れ、Aは当市の職員として勤務していました。Aは、平成24年4月1日から県職員に復帰し、平成27年3月31日に県を退職しました。Aは、平成27年4月1日から民間企業へ就職し、民間企業の当市担当者として同年7月に当市との業務委託契約を締結しました。

(1)委託契約の初年度は、改正地方公務員法の施行日前である平成27年度の契約であり、同法第38条の2第1項に規定する契約事務等についての働きかけ規制の適用がないと解釈することが可能でしょうか。
また、平成28年度の契約については、前年度からの継続案件として特命随意契約としているため、契約に係る活動はなかったので、働きかけ規制の適用はないと考えることができますか。

(2)地方公務員法第38条の2の規定では再就職者は、役職員に対し、「売買、貸借、請負その他の契約又は当該営利企業等若しくはその子法人に対して行われる行政手続法(平成5年法律第88号)第2条第2号に規定する処分に関する事務(以下「契約等事務」という。)であつて離職前5年間の職務に属するものに関し、離職後2年間、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼してはならない。」としているところ、当市としては、県の退職日である平成27年4月1日は、当市の退職日とはならないと考えていますが、よろしいでしょうか。

(1)地方公務員法第38条の2第1項は、「離職前5年間の職務に属するものに関し、離職後2年間、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼してはならない。」と規定していますが、この規定が施行日前に遡及して適用されるものではありません。したがって、平成27年度の契約には適用されません。
 また、この規定が適用されるのは、職員の離職後2年間です。そうすると、Aが御市を退職したのは、平成24年3月31日ですから、離職後2年以上経過していますので、平成28年度の契約についても、同項の適用はありません。
(2)Aと御市との関係においては、市の退職日に基づいて、当該規定の適用の有無を判断することになるものです。

◯地方公務員法
第38条の2 職員(臨時的に任用された職員、条件付採用期間中の職員及び非常勤職員(第28条の5第1項に規定する短時間勤務の職を占める職員を除く。)を除く。以下この節、第60条及び第63条において同じ。)であつた者であつて離職後に営利企業等(営利企業及び営利企業以外の法人(国、国際機関、地方公共団体、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第4項に規定する行政執行法人及び特定地方独立行政法人を除く。)をいう。以下同じ。)の地位に就いている者(退職手当通算予定職員であつた者であつて引き続いて退職手当通算法人の地位に就いている者及び公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律(平成12年法律第50号)第10条第2項に規定する退職派遣者を除く。以下「再就職者」という。)は、離職前5年間に在職していた地方公共団体の執行機関の組織(当該執行機関(当該執行機関の附属機関を含む。)の補助機関及び当該執行機関の管理に属する機関の総体をいう。第38条の7において同じ。)若しくは議会の事務局(事務局を置かない場合にあつては、これに準ずる組織。同条において同じ。)若しくは特定地方独立行政法人(以下「地方公共団体の執行機関の組織等」という。)の職員若しくは特定地方独立行政法人の役員(以下「役職員」という。)又はこれらに類する者として人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則。以下この条(第七項を除く。)、第38条の7、第60条及び第64条において同じ。)で定めるものに対し、当該地方公共団体若しくは当該特定地方独立行政法人と当該営利企業等若しくはその子法人(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第106条の2第1項に規定する子法人の例を基準として人事委員会規則で定めるものをいう。以下同じ。)との間で締結される売買、貸借、請負その他の契約又は当該営利企業等若しくはその子法人に対して行われる行政手続法(平成5年法律第88号)第2条第2号に規定する処分に関する事務(以下「契約等事務」という。)であつて離職前5年間の職務に属するものに関し、離職後2年間、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼してはならない。
2~8(略)