地域の特色や資源を活かす条例
(令和7年3月26日更新)
【麺類】
埼玉県加須市 | 加須市うどんの日を定める条例 | 平成25年7月9日公布 | 平成25年7月9日施行 |
宮城県白石市 | 奥州白石温麺(うーめん)振興条例 | 平成26年3月3日公布 | 平成26年3月3日施行 |
愛媛県八幡浜市 | 八幡浜ちゃんぽん振興条例 | 平成26年9月24日公布 | 平成26年11月11日施行 |
奈良県桜井市 | 桜井市三輪素麺の普及の促進に関する条例 | 平成29年6月19日公布 | 平成29年7月7日施行 |
秋田県湯沢市 | 稲庭うどん振興条例 | 令和5年9月26日公布 | 令和5年9月26日施行 |
〇 加須市うどんの日を定める条例
「本市の伝統的なうどんの食文化についての市民の関心と理解を深め、市民、事業者、関係機関及び関係団体(・・・)と市が協働して、本市の郷土料理であるうどんの魅力を全国に発信することにより、産業の振興と地域経済の活性化を図るため、加須市うどんの日(・・・)を定める。」(1条)
〇 奥州白石温麺(うーめん)振興条例
「私たちの郷土白石では、雄大な蔵王連峰に源を発する白石川の清い豊かな水と温和な気候など豊かな自然の恵みの中で、400年以上前より白石三白の一つである白石温麺(うーめん)が製造され、古くから体に優しい食品として愛され続け、親しまれてきた。
私たちはこの歴史が育んできた伝統ある食文化を後世に伝承していくという認識の下に、白石温麺(うーめん)の普及促進と地域経済の発展を目指し、この条例を制定する。」(前文)
〇 八幡浜ちゃんぽん振興条例
「この条例は、歴史的に海上交易が盛んな港町であり、商業都市として発展してきた八幡浜市の食文化と、海を渡って伝わった全国各地の食文化を、進取の気質を持つ先人達が融合させ誕生したと言われる市の代表的な郷土食の『八幡浜ちゃんぽん』の普及促進を通して、市民が市の良さを認識し、郷土への愛着及び市の知名度向上を図り、もって地域振興に寄与することを目的とする。」(1条)
本条例については、自治体法務研究2017年春号条例制定の事例CASESTUDY「八幡浜ちゃんぽん振興条例」を参照のこと。
〇 桜井市三輪素麺の普及の促進に関する条例
「三輪素麺は、現在から1200年余り前、飢饉に苦しむ民を救うため、保存食として小麦を挽いて棒状に練り乾燥させたものが時を経て苧環おだまきの糸のような細く白い素麺として誕生したものであり、公(く)卿(ぎょう)の日記や女官たちの手記によると平安時代以降、宮中や貴族の間で、七夕に食する風習があったとされている。
三輪素麺づくりは、冬の厳しい気候の中で伝統的な手延べ製法が守り続けられており、日本の伝統食である素麺は、大和の人々にとって伝統行事や日常の食に溶け込んだ食べ物として、また日本中の人々に年中を通じて日常の食べ物として親しまれている。
そのような中、三輪素麺は、本市の優れた地域資源として、桜井市地域ブランドに認定され、更に、他とは違い手延べによる細く白い優れた品質を保持し、国が地域特有のブランドとして保護する『地理的表示保護制度』の登録も受けたところである。
このような古い歴史をもつ三輪素麺を積極的にPRし普及するために、三輪素麺を食する習慣を広め、伝統文化への理解の促進及び本市の地域経済の活性化を図るため、この条例を制定する。」(前文)
〇 稲庭うどん振興条例
「稲庭うどんは、湯沢市に江戸時代初期から伝わり、永い歴史の上に脈々と受け継がれ、現在は日本三大うどんの一つとして、その本場・産地として揺るぎなく存続している。私たちは、このことを尊重し、かつ、最大限に活かし、郷土の誇りとして将来にわたり守り育て、これまで以上に市民が稲庭うどんに親しみ、伝統ある食文化として後世へ伝承していくという認識の下に、稲庭うどんの普及促進と地域経済の発展を目指すため、この条例を制定する。」(前文)
【菓子】
埼玉県草加市 | 草加せんべいの普及を促進する条例 | 平成27年3月23日公布 | 平成27年3月23日施行 |
三重県名張市 | 「食べてだあこ」名張のお菓子でおもてなし条例 | 平成28年12月2日公布 | 平成28年12月2日施行 |
和歌山県海南市 | 海南市お菓子の振興に関する条例 | 平成30年12月20日公布 | 平成30年12月20日施行 |
〇 草加せんべいの普及を促進する条例
「この条例は、草加を発祥の地とし、地域団体商標の商標登録(商標法第7条の2第1項に規定する地域団体商標の商標登録をいう。)を受けている草加せんべいに関する伝統及び産業を守り、次代に継承していくための基本理念及び事業者、市の役割等を明らかにするとともに、草加せんべいの普及を促進し、本市における産業の振興及び地域社会の活性化を図り、もって魅力あるまちづくりに寄与することを目的とする。」(1条)
〇 「食べてだあこ」名張のお菓子でおもてなし条例
「名張市は、古くは関西方面と伊勢神宮とを結ぶ街道の宿場町として栄えた地であり、初瀬街道沿いでは、四季を通してお茶やお菓子で多くの人々をもてなしてきました。名張市において、お菓子は、おもてなしの心から、文化として、さらには産業として根付き、その過程で四季折々のお菓子が生まれ、それらは人々に深く愛されてきました。
おもてなしの心を大切にしながらお菓子の文化及び産業の振興を図る取組は、次世代に引き継いでいかなければなりません。
ここに、市、事業者、各種団体及び市民が協働して、名張のお菓子によるおもてなしの習慣及びその魅力を広め、並びにその文化及び産業の振興に取り組むことにより、四季の移ろいを感じることができる心豊かなまちを目指すとともに、地域経済の振興及び地域文化の発展を図るため、この条例を制定します。」(前文)
〇 海南市お菓子の振興に関する条例
「本市下津町橘本にある『六本樹の丘』は、みかんの原種であり、お菓子の起源といわれる橘が、古事記や日本書紀に登場する田道間守(タヂマモリ)により6本植えられた場所であると岩屋山金剛寿院福勝寺の縁起に記されており、日本で最初に植えられた場所であるといわれている。
果物は水菓子といわれるように、古くは、菓子と果物とは、意味の違いはなかったものとされる。本市は、みかん、ビワ、桃等の果物の産地としても知られるところであり、日本で最初に植えられた果物の実が先人達の努力により大いに発展し、現在に至っている。これらのことから、本市は『お菓子の発祥の地』といえるのである。
ここに、市、事業者及び市民が協働して、先人達の努力により発展させてきたこの歴史的・文化的資源を広く市内外に発信すること等により、お菓子に関する伝統文化の理解を深め、郷土愛の醸成を図るとともに、地域経済の発展及び地域の振興を図るため、この条例を制定する。」(前文)
【農産物・果物】
青森県板柳町 | によるりんごの普及促進を図る条例 (りんごまるかじり条例) |
平成14年12月13日公布 | 平成14年12月13日施行 |
青森県弘前市 | 弘前市りんごを食べる日を定める条例 | 平成19年3月23日公布 | 平成19年4月1日施行 |
青森県藤崎町 | 藤崎町りんご「ふじ」発祥の地によるりんご生産普及条例 | 令和4年3月14日公布 | 令和4年3月14日施行 |
鳥取県湯梨浜町 | 湯梨浜町二十世紀梨を大切にする条例 | 平成16年10月1日公布 | 平成16年10月1日施行 |
愛知県東海市 | 東海市トマトで健康づくり条例 | 平成26年9月30日公布 | 平成26年9月30日施行 |
和歌山県みなべ町 | 関する条例 |
平成26年9月30日公布 | 平成26年10月1日施行 |
熊本県山江村 | 平成31年3月15日公布 | 平成31年4月施行 |
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新潟県南魚沼市 | 南魚沼市コシヒカリの普及促進に関する条例 | 平成25年9月25日公布 | 平成25年10月10日施行 |
石川県中能登町 | 中能登町「おにぎりの日」に関する条例 | 平成27年6月19日公布 | 平成27年8月1日施行 |
福島県郡山市 | 郡山市産米の消費拡大の推進に関する条例 | 令和4年12月1日公布 | 令和4年12月1日施行 |
新潟県胎内市 | 胎内市米粉の普及促進に関する条例 | 平成29年6月12日公布 | 平成29年7月1日施行 |
沖縄県中城村 | 平成30年10月29日公布 | 平成30年10月29日施行 |
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沖縄県宜野湾市 | 平成27年6月30日公布 | 平成27年7月1日施行 |
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千葉県八街市 | 平成31年3月26日公布 | 平成31年4月1日施行 |
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栃木県下野市 | 令和2年3月16日公布 | 令和2年3月16日施行 |
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千葉県富里市 | 令和3年3月18日公布 | 令和3年4月1日施行 |
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茨城県水戸市 | 令和4年6月24日公布 | 令和4年6月24日施行 |
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山形県寒河江市 | 令和6年6月24日公布 | 令和6年6月24日施行 |
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京都府久御山町 | 令和6年12月25日公布 | 令和6年12月25日施行 |
〇 りんごの生産における安全性の確保と生産者情報の管理によるりんごの普及促進を図る条例(りんごまるかじり条例)
「りんごの生産者及びその関係団体は、国民の健康づくりに及ぼすりんごの重要な役割を深く理解し、りんごの生産における安全性の確保と生産者情報の開示の意義を自覚し、町の定めるガイドラインを順守しつつ、りんごの品質を管理するための体制を整備するよう努めるものとする。」(3条)
「町民は、りんごのまるかじりの普及に努めるほか、りんごの生産における安全性の確保及び生産者情報の開示に係る町の施策の実施に協力するよう努めなければならない。」(4条)
〇 弘前市りんごを食べる日を定める条例
「当市が日本一のりんご産地であることの市民の意識を高め、りんごに対する愛着と誇りを醸成し、もって弘前産りんごの地元における消費の拡大を図るため、弘前市りんごを食べる日を設ける。」(1条)
〇 藤崎町りんご「ふじ」発祥の地によるりんご生産普及条例
「りんご「ふじ」は、当町で1940年に誕生し、食味が良く、貯蔵性に優れ、国内の主力品種にとどまらず、世界一の生産量を誇る品種となっている。
これからも、藤崎町が「ふじ」発祥の地として広く伝えられ、品質良好な「ふじ」の生産と藤崎産りんご全体の振興を促進するとともに、これまで技術向上に多大な貢献をした先人の功績をたたえてこの条例を制定する。」(前文)
〇 湯梨浜町二十世紀梨を大切にする条例
「町民は、日本一の二十世紀梨の産地の住民として、梨づくりの歴史、果物の優れた味覚と色彩、白い花を町の誇る特色として認識するとともに、町の内外に積極的に情報発信するよう努める。」(2条)
〇 東海市トマトで健康づくり条例
「この条例は、東海市いきいき元気で健康長寿のまちづくり条例に定める健康づくりを推進するに当たり、トマトが健康の増進に効果的な野菜であること及び本市において明治36年からトマトの加工製品が製造されてきたことを踏まえ、トマトを活用した健康づくりを推進することにより、市民の健康づくりに対する意識の向上と健康の増進に寄与することを目的とする。」(1条)
〇 みなべ町紀州南高梅使用のおにぎり及び梅干しの普及に関する条例
「梅干しに代表される梅関連商品は、古くから保存食として、また、健康食品として親しまれ、認知されてきた。本町は、日本一の梅の町として、また、南高梅が誕生した町として知られている。そして今日では、全国トップブランドの梅干しとして、最高の品質そして機能性の高い健康食品であると認められ、梅産業は本町の重要な基幹産業として発展を遂げてきた。
ここに、町並びに梅の生産に携わる者及び梅干し等の梅製品の生産又は販売を業として行う者が連携を図りながら、それぞれの役割を果たし、町民の協力をもって紀州南高梅を使用したおにぎりを奨励し、梅干し等の梅製品を積極的に普及することにより、梅の消費拡大を図り、更なる紀州南高梅ブランドの確立、梅関連産業の振興発展及び地域の活性化並びに町民の健康の維持・増進の視点から、町の合併10周年を期に、この条例を制定する。」(前文)
〇 山江村の宝「やまえ栗」条例
「この条例は、先人が築き上げた『やまえ栗』ブランドを村民の誇りとし、『やまえ栗』を守り、本村の特産品として振興することにより村の発展に資することを目的とする。。」(1条)
〇 南魚沼市コシヒカリの普及促進に関する条例
「この条例は、世界に冠たるブランド農産物である南魚沼産コシヒカリの普及促進を図ることを目的とする。」(1条)
〇 中能登町「おにぎりの日」に関する条例
「昭和62年11月に旧鹿西町金丸地内における杉谷チャノバタケ遺跡から、日本最古のおにぎりの化石が発見され、旧鹿西町時代には、おにぎりの里として、鹿西の「ろく(6)」と毎月18日の「米食の日」から6月18日を、おにぎりの日としていた。
この条例は、町の合併から10周年を期に、町民の協力をもって、地域活性化や農業振興並びに地域ブランドの育成のために、必要な事項を定めることにより、町の発展に資することを目的とする。」(1条)
〇 郡山市産米の消費拡大の推進に関する条例
「私たちの住む郡山市は、奥羽、阿武隈山系からの清らかな水や、明治初期の安積開拓による猪苗代湖の豊富な水、そして先人たちのたゆまぬ努力の積み重ねにより肥沃な大地へと生まれ変わり、多面的な機能を有する豊かな水田が広がる国内有数の米どころとなりました。
その一方で、人口減少、食の多様化、ライフスタイルの変化等に伴い、全国的に米の消費量が減少しており、米価の下落や高齢化による生産者の減少、耕作放棄地の増加等の課題が顕在化しています。
また、昨今の地球規模での気候変動による自然災害に加え、世界経済情勢の急激な変化にあっては、国内農業生産を維持し、特に食料自給率が高い米の安定的な供給を確保することは、私たちが次世代に受け継いでいくべき大切な使命であると考えます。
そして、本市の豊かな自然と気候に恵まれた大地で収穫された風味豊かな米が多くの方に消費されることは、日本の伝統的な食文化の醸成や本市の魅力の更なる発信、農業をはじめとする地域産業の振興と持続的な発展につながります。
これらのことから、市、生産者、事業者及び市民が一体となって郡山市産米の消費拡大を推進し、持続可能な社会を築くため、この条例を制定します。 」(前文)
〇 胎内市米粉の普及促進に関する条例
「この条例は、米粉の普及を促進することにより、市民の地域への誇りや郷土愛を育み、地域産業の振興を図り、もって活力あるまちづくりに寄与することを目的とする。」(1条)
「市民の米粉に対する関心と理解を深め、もって米粉の普及促進を図るため、胎内市米粉の日及び胎内市微細米粉発祥記念日を設ける。」(6条1項)
〇 中城村島にんじんの日を定める条例
「中城村の肥沃な農地で長年栽培され、沖縄県の伝統的農産物の中でも島野菜のひとつとして親しまれている島にんじん。その島にんじんの普及、消費及び生産の拡大に加え、次世代への継承を目的に島にんじんの日を定める。」(1条)
〇 宜野湾市ターウムの日に関する条例
「宜野湾市のターウム(田芋又は水芋を意味する方言)は、豊富な湧き水、恵まれた地域資源の中で育まれ、先人たちのたゆみない努力によって受け継がれてきた本市の伝統野菜であり特産品である。
また、宜野湾市のターウムは、沖縄県の伝統料理にも欠かせない魅力ある食材であるとともに、市内小中学校の学校教育においても重要な役割を担っている。
魅力ある宜野湾市のターウムを次世代に継承するとともに、多くの市民・県民が愛着をもつよう、ターウムのター(ターチ:2を意味する方言)と、ム(ムーチ:6を意味する方言)の語呂合わせをとり、宜野湾市ターウムの日を設ける。」(前文)
〇 八街市落花生の普及促進に関する条例
「八街市に落花生が導入されたのは明治29年頃で、当時は、まだ今日のように安定した作付け計画をもたず、試作と模索に明け暮れていた。
明治末期から落花生の生産は急速な発展を遂げ、昭和24年頃の落花生の作付け面積は全作付け面積の約80パーセントを占めていた。
現在では、全国的にみると約80パーセントが千葉県で生産されている中で、市町村別生産量においては、本市は日本一の生産量を誇り、千葉県はもとより全国的に認知される状況となった。
平成19年には特許庁の地域団体商標制度により『八街産落花生』として商標登録され、一層の知名度の向上とブランドを確立するための礎が構築された。
今後も本市で生産される落花生の日本一の産地としての銘柄を保持し、普及を促進するためには、生産者、加工者及び販売者(以下『生産者等』という。)の方々が互いに協力し、国民に愛される日本一美味しい落花生を目指して更なる努力を積み重ね、消費の拡大へとつなげることが必要不可欠である。
よって、市及び生産者等が、それぞれの役割を担い、市民の理解と協力をもって、本市で生産される落花生を積極的にピーアールすることにより落花生の普及を促進し、本市の経済の活性化を図るため、この条例を制定する。」(前文)
〇 下野市かんぴょう条例
「この条例は、生産量全国一位の下野市のかんぴょうの生産及び消費拡大に関し、基本理念を定め、市、議会、議員、かんぴょう生産者、かんぴょう事業者及び市民の役割を明らかにするとともに、基本理念に基づく施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な事項を定め、もって本市のかんぴょうに関わる産業の振興及び市民の郷土に対する愛着を深め、豊かで健康的な生活の向上を図ることを目的とする。」(1条)
〇 富里市すいか条例
「富里市・・・は、千葉県の北総台地の中央に位置し、首都圏の台所として、基盤産業である農業を中心に栄えてきました。
中でも、富里といえば『すいか』といわれるほど、富里のすいかは、市はもとより全国を代表する農作物として親しまれ、市の重要な基幹作物として愛されてきました。
ここに、我がまち富里のすいかを、富里を象徴する特産品と位置付け、市、生産者、事業者及び市民の役割を明らかにして、それぞれが協力し、富里のすいかを更に広く知らしめ、すいかの産地として有名なまちとして、市民が市の良さを再認識するきっかけをつくり、郷土への愛着及び知名度の向上を図り、もって富里のすいかを守ることを基本理念として、富里市すいか条例を制定します。」(前文)
〇 水戸市納豆の消費拡大に関する条例
「この条例は、納豆が健康の増進に効果的な食品であること及び本市の代表的な特産品として広く認知されていることを踏まえ、納豆の積極的な消費拡大を図ることで、市内産業の活性化及び市民の健康の増進に寄与することを目的とする。」(1条)
〇 さくらんぼのまち寒河江推進条例
「寒河江市(以下「市」という。)は、明治時代初期からさくらんぼの栽培が始まり、これまで全国屈指の産地として「さくらんぼ」にこだわったまちづくりを進めてきた。
ここに、さくらんぼを、市民の誇りと位置付け、生産者、事業者、市民及び市の役割を明らかにし、それぞれが協力し、さくらんぼのまち寒河江をさらに推進し、未来へ継承することを基本理念として、条例を制定する。」(1条)
〇 「野菜のまち」久御山町食育推進条例
「久御山町は、促成の果菜苗である「淀苗」の産地であり、その歴史は室町時代に遡る。また、伝統的な野菜の栽培も盛んであり、都市近郊の地の利を生かした軟弱野菜や京野菜の産地として発展してきた。地場産農作物やそれらを用いた郷土料理に接する機会に恵まれており、その魅力と味わいを肌身に感じることができる個性豊かな食文化を代々受け継いでいる。
しかし、近年では手軽に早く食事を摂ることが増え、家庭の味や地域産物の素材の味に接する機会が減り、毎日の食の大切さが見過ごされつつある。こうした環境の変化は、朝食の欠食や栄養の偏りを招き、心身の発達に影響を与え、生活習慣病、要介護状態や認知症の原因となる等様々な課題を生じさせている。
こうした中、私たち一人ひとりが豊かな食に恵まれた郷土への矜持と生産者等への尊敬と敬愛の念を持ち、地場産農作物を使った家庭の味や郷土料理を生活に根付かせることにより、地域産業が活性化し、食への理解が深まり、心身の健康を増進させる好循環を生むものとなることから、食育を推進し、広く町民に普及するよう努めることが重要である。
ここに、地域に根ざした食文化の大切さを再認識するとともに、食についての意識を高め、健全な食生活を自ら実践していく能力を育み、健康でいきいきと暮らせる久御山町を推進するため、この条例を制定する。」(前文)
【水産物】
北海道留萌市 | 留萌市かずの子条例 | 平成28年9月23日公布 | 平成28年9月23日施行 |
大阪市泉佐野市 | 泉佐野市ワタリガニの普及の促進に関する条例 | 平成28年3月25日公布 | 平成28年3月25日施行 |
宮城県亘理町 | はらこめし推進条例 | 令和元年9月30日公布 | 令和元年10月8日施行 |
熊本県 | 熊本県産あさりを守り育てる条例 | 令和4年6月24日公布 | 令和4年7月1日施行 |
〇 留萌市かずの子条例
「この条例は、留萌市のニシンの千石場所から連なる伝統的なニシンによる食文化、とりわけ、子孫繁栄の縁起物かずの子の生産又は加工並びに利用及び消費の拡大に関し、基本理念を定め、市、議会、議員、かずの子事業者及び市民の役割を明らかにするとともに、これに基づく施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な事項を定め、もって留萌市のかずの子に関わる産業の振興及び市民の郷土に対する愛着を深め、豊かで健康的な生活の向上を図ることを目的とする。」(1条)
〇 泉佐野市ワタリガニの普及の促進に関する条例
「この条例は、古くから豊富な漁場の大阪湾に面した漁港を有する泉佐野市において、大阪府内で有数の漁獲量を誇るワタリガニの魅力を市の内外に発信することにより、ワタリガニの普及の促進を図り、もって漁業振興及び地域経済の活性化に資することを目的とする。」(1条)
「市民、事業者及び市は、写真を撮影する際にワタリガニを表す姿勢をとることを求めることその他の方法により、ワタリガニの魅力を市の内外に発信し、ワタリガニの知名度の向上に努めるものとする。」(5条)
〇 はらこめし推進条例
「亘理町荒浜が発祥の郷土料理「はらこめし」は五穀豊穣と豊漁を感謝するため収穫されたばかりの新米と阿武隈川を遡上した鮭を合わせて調理し、神社に供えたことが始まりと伝えられている。
そして、古くは初代仙台藩主伊達政宗公がこの地を訪れ「はらこめし」を献上された際にその美味しさを側近に吹聴したことが世に珍重されるに至ったきっかけとも言われている。
このように古くから受け継がれ、多くの人に愛されている「はらこめし」は、旬の時期になると町内の多くの家庭や飲食店で食され、マスメディア等に取り上げられることも多く、県内外において「はらこめし」への関心が高まっている。
今後さらに「はらこめし」の地位を高めていくとともに、亘理町並びに宮城県を代表する秋の郷土料理として後生に伝承させていくため、この条例を制定する。」(前文)
〇 熊本県産あさりを守り育てる条例
「この条例は、熊本県産あさりを県民を挙げて守り育て、適正に流通させ、消費者に販売するための基本理念を定め、並びに県、漁業者、漁業協同組合、熊本県漁業協同組合連合会及び水産物流通販売事業者の責務並びに県民の役割を明らかにするとともに、熊本県産あさりの保全、育成及び販売に関する施策並びに適正な原産地の表示に関する施策の基本となる事項を定めることにより、熊本県産あさりを守り育て、適正に流通させ、消費者に販売するための施策を総合的に講じることで、漁業者及び漁業協同組合が持続的にあさりの生産及び漁場の有効活用に取り組み、もって本県水産業の振興、海域の環境保全及び安全安心な熊本県産あさりの消費者への提供を図ることを目的とする。」(1条)
【酪農品】
北海道中標津町 | 中標津町牛乳消費拡大応援条例 | 平成26年3月20日公布 | 平成26年4月1日施行 |
栃木県那須塩原市 | 那須塩原市牛乳等による地域活性化推進条例 | 平成27年3月23日公布 | 平成27年4月1日施行 |
〇 中標津町牛乳消費拡大応援条例
「この条例は、基幹産業を酪農とする当地域で生産される牛乳が、常に日本のトップクラスの品質であることに誇りを持ち、広くアピールすることで、牛乳の消費拡大と、乳製品食文化の普及継承を促進し、もって地域酪農文化の理解と郷土愛の醸成を図ることを目的とする。」(1条)
〇 那須塩原市牛乳等による地域活性化推進条例
「那須塩原市は全国でも有数の生乳生産地であり、また、生乳から生産される牛乳及び乳製品は魅力ある産品として地域の知名度向上に貢献しているところである。さらに、市民一人ひとりが地域への愛着と誇りを持ち、それぞれの創意工夫により役割を果たすことで、牛乳等の消費拡大及び普及を促進し、もって地域活性化の推進を図ることを目指し、本条例を制定する。」(前文)
【お茶・茶の湯】
静岡県静岡市 | 静岡市めざせ茶どころ日本一条例 | 平成20年12月12日公布 | 平成21年4月1日施行 |
京都府宇治市 | 宇治茶の普及とおもてなしの心の醸成に関する条例 | 平成26年10月16日公布 | 平成26年10月16日施行 |
大阪府堺市 | 堺茶の湯まちづくり条例 | 平成30年9月28日公布 | 平成30年10月1日施行 |
島根県松江市 | 松江市茶の湯条例 | 平成31年3月29日公布 | 平成31年4月1日施行 |
愛知県西尾市 | 西尾の抹茶おもてなし条例 | 令和3年3月25日公布 | 令和3年3月25日施行 |
埼玉県入間市 | おいしい狭山茶大好き条例 | 令和4年9月28日公布 | 令和4年10月1日施行 |
福岡県八女市 | 八女茶でまちづくり条例 | 令和4年12月16日公布 | 令和5年4月1日施行 |
滋賀県彦根市 | 井伊直弼公の功績を尊び茶の湯・一期一会の文化を広める条例 | 令和5年3月27日公布 | 令和5年4月1日施行 |
〇 静岡市めざせ茶どころ日本一条例
「静岡市では、『養生の仙薬』といわれるお茶が鎌倉時代から栽培されてきた。市域の至る所に産地があり、静岡のお茶として全国的に有名な緑茶が生産されている。静岡市は、全国有数のお茶の集散地であり、茶業は、本市にとって重要な産業となっている。また、お茶に関する文化や伝統は、私たちの生活に深く浸透し、お茶は、私たちが豊かで健康的な生活を送る上で欠かせないものとなっている。
しかしながら、近年、生活様式や流通の変化により茶業の収益性及び集散地としての機能が低下し、静岡のお茶を取り巻く環境は、非常に厳しいものとなっている。
私たちは、先人たちが築き上げてきたお茶の伝統、文化、産業等を守り、静岡市を日本一の茶どころとして育て次代に引き継ぐため、この危機的な状況に立ち向かわなければならない。そのためには、市、市民及び茶業者その他の事業者等が互いに連携し、静岡のお茶により、だれもが心いやされ、交流の輪を広げられるように、静岡のお茶の魅力を高めていくための施策を総合的かつ計画的に推進していかなければならない。
そこで、私たちは、静岡のお茶に関する産業の振興及び市民の豊かで健康的な生活の向上を図ることを目指し、この条例を制定する。」(前文)
〇 宇治茶の普及とおもてなしの心の醸成に関する条例
「数ある日本茶の中でも高級茶の代名詞とも言える宇治茶は、鎌倉時代から続いているとされる本市の特産品であり、生産、販売、その他の関連する産業は本市にとつて重要な産業となっている。
しかし、近年の生活様式の多様化や飲料の種類の増加などにより、抹茶はもとより急須でお茶をいれる習慣が薄れ、茶を振る舞うおもてなしの機会が減少している。
茶業を重要な伝統的産業としている本市にとつて危機感を覚えざるを得ない状況である。
宇治が宇治茶発祥の地である誇りを持ち、宇治茶の消費拡大等による『宇治茶の普及』や、客人に宇治茶を振る舞うことを通した『おもてなしの心の醸成』により、先人たちが築き上げてきた宇治茶の伝統及び産業を守り、国内外に情報発信をすることにより、本市がさらに発展することを目指す。
このような考えの下に本条例を制定する。」(前文)
〇 堺茶の湯まちづくり条例
「堺は、中世、世界に開かれた貿易都市として発展を遂げるとともに、町衆が治める自由・自治都市として繁栄し進取の気風に満ちあふれていた。その中で、今井宗久、津田宗及、千利休等の多くの優れた茶人が生まれ、なかでも千利休は、わび茶を大成し、茶の湯に大きな足跡を残した。また、当時の茶道具が堺環濠都市遺跡の各所で数多く発掘されていることから、豪商など一部の者に限らず、広く茶の湯を楽しむ文化が根付いていたといえる。
茶の湯は、美術、工芸、書画、生花、料理、菓子等の幅広い分野にわたるものであり、世界に誇るべき日本の文化として連綿と息づいている。
堺では、現代においても、市民、事業者等によって様々な茶会が催されるなど、茶の湯を楽しむ文化が受け継がれている。私たちは、これからも、茶の湯を楽しむ文化が大切に育まれてきた堺を誇りに思うとともに、これを次世代に引き継いでいかなければならない。
ここに、茶の湯の文化が息づくまちをめざすことを決意し、この条例を制定する。」(前文)
〇 松江市茶の湯条例
「よき日本の面影を今にとどめる城下町松江は、茶どころとして知られている。市民は作法にとらわれることなく、好みに合わせて抹茶を点て、いただいている。ひとときの和みは落ち着きとゆとりをもたらし、生活を潤す。市民の暮らしに根づいた松江のお茶の習慣は、培われて茶の湯文化となり、この地を訪ねた人々を魅了してやまない。
松江の茶の湯文化は、江戸時代に松江藩松平家第7代藩主治郷・不昧公によって隆盛をみた。不昧公は、早くから禅と茶道を学び、武家茶の流れのなかで、独自の茶風を創出した。茶道具の名品の保護と収集にも尽力した。これを人々に鑑賞させ、美の興趣をともにし、職人たちには、その技法を学ばせ、さらに自らの美意識を反映した道具の再生をすすめた。また、製茶はもとより、茶席に用いられる菓子や料理を作る職人、さらに茶室建築の匠も養成した。このように、茶道芸術を通し、建築、美術工芸や食の文化の発展をうながし、松江に芸術文化を育て、ものづくりの技量を高め、それは今日の松江を支える産業となり、市民の暮らしを豊かにしている。
亭主も客も、互いを思いやり、心かよわせることが、何よりも大切と説いた不昧公の教えも、国際文化観光都市・松江市民の『おもてなしの心』となって、今に息づいている。
時の流れの中で、茶の湯も改革されるものと不昧公は考え、本質をふまえて新しい時代の茶の湯文化を築き、発展させた。私たち市民は、この精神を受け継ぎ、新しい時代の茶の湯文化を創出し、その所産である産業の振興にいそしんできた。
私たちは、これをさらに充実させ、繁栄をもたらすため、研鑽(さん)をつみ、内容を豊かにし、未来につづく継承者を育成し、新たな展開をともに求め、これをもとに松江市の茶の湯を、国内外に発信することを目指し、この条例を制定する。」(前文)
〇 西尾の抹茶おもてなし条例
「温暖な気候、矢作川がもたらす豊かな土壌と川霧に恵まれる西尾市は、750年に及ぶ抹茶の歴史が息づくまちです。
その歴史は、文永8年創建の実相寺境内にその開祖聖一国師が、最初の茶種を蒔いたことに始まり、明治に入ってから生産が本格化、大正後期にはてん茶の栽培・製造が主となり、現在に至っています。
また、「西尾の抹茶」は早くから高級茶の製造を目指し、平成21年には抹茶に限定したものとしては全国で初めて、特許庁の地域ブランド(地域団体商標)に認定されました。
西尾市民が抹茶をいただく機会も多く、保育園や小中学校でも開催されるなど、様々な場面において茶会や野点が楽しまれています。また、5月上旬から下旬にかけて茶摘み体験を行う小中学校もあり、抹茶とのつながりが小さい頃から身につきやすい環境にあります。
そんな「抹茶のふるさと西尾」を誇りに思うとともに、更なる「西尾の抹茶」の普及や、客人に振る舞うことを通したおもてなし機運の醸成を目指し、この条例を制定します。」(前文)
〇 おいしい狭山茶大好き条例
「入間市は、狭山茶の「誕生の地」であり、最大の「主産地」です。
入間市にとって狭山茶は、入間市の自然環境と先人たちの努力の上に成り立つ重要な特産物であるとともに、その味と香り、茶のある暮らし、茶畑の広がる風景は、市民の誇りとなっています。市内の至る所に茶畑や茶工場、茶販売店があり、茶業は、入間市の主要産業のひとつとして地域経済の中で大きな役割を担っています。
市では、狭山茶を始めとした幅広い茶に関する調査研究を行い、研究成果を生かした講座や展示を行っています。学校教育では、茶摘みや盆点前などの「狭山茶とふれあう教育」を地域の教育力を生かして推進しています。このように子どもから大人まで狭山茶や茶文化について学ぶ機会を多くつくっていることが、入間市の大きな特色となっています。
狭山茶産地は、全国の主要茶産地の中では北方に位置し、温暖な地域に比べ茶摘みができる回数も限られ、全国的に見れば生産量は少ない状況です。しかし、寒さに耐えるために茶の葉がじっくり育ち、香りや味がよいと言われており、流通の少なさから希少価値が高いと言えます。
近年、日常的に急須でお茶を淹れて飲む人は少なくなってきており、茶業の状況は厳しく、市内の茶業者は減少傾向にあります。その一方で、意欲的に狭山茶の生産や新しい商品開発に取り組む茶業者がいます。また、若い世代にも、おいしい狭山茶とお茶のある文化を残していきたいと活動する市民がいます。そして、多くの市民が茶畑と狭山茶を入間市の魅力として大切に思っていることは、市民意識調査に表れています。
ここに、みんなで、市民が魅力と感じる狭山茶の振興を図り、茶文化を後世へつないでいくために、この条例を制定します。」(前文)
〇 八女茶でまちづくり条例
「八女茶は、恵まれた地形や気象条件、先人たちの卓越した技術と努力の積み重ねにより、高級茶として全国的に認知されている。特に八女伝統本玉露は、平成27年12月22日に農林水産省の地理的表示(GI)保護制度の第1弾として登録を受け、国内外に八女茶の存在価値を示している。
しかしながら、茶業を伝統的産業としている本市としては、近年の家庭での急須離れなどライフスタイルの変化に伴い、全国的な茶の消費減少に危機感を抱かざるを得ない状況にある。
本市が八女茶発祥の地であることに誇りを持ち、八女茶の伝統と産業を守り、国内外に八女茶の魅力を発信することにより、本市がさらに発展することを目指すためにこの条例を制定する。」(前文)
〇 井伊直弼公の功績を尊び茶の湯・一期一会の文化を広める条例
「水と緑の豊かな自然環境に恵まれた彦根は、35 万石の家格を誇った井伊家の城下町として、政治、経済および文化について重要な役割を果たしながら繁栄を遂げ、優美なたたずまいの城郭と共に暮らしてきた人々が織り成す歴史的で文化的な風情が残るまちである。
彦根における茶の湯の歴史は深く、井伊家の歴代当主は茶の湯の道を修め、特に13代当主の井伊直弼公は、自身が埋木舎と名付けた屋敷で茶の湯を始め文武にわたる諸芸に打ち込み、後に幕府の大老に就任してからも自らの茶の湯の探求および実践に励んだ。その過程において、井伊直弼公は、利休を始めとする先人たちが築き上げた侘わびの茶の原点を見つめ直し、自ら著した「茶湯一会集」において、茶の湯の心構えを「一期一会」の言葉に昇華し、世に示した。
現代においてもこのような歴史的な背景から彦根の井伊直弼公ゆかりの地で茶会が催されるとともに、井伊直弼公が愛用した物を含め数多くの歴史的な茶道具、茶書等が彦根城博物館に所蔵されているほか、楽々園には井伊直弼公が茶会を催した茶室が現存し、彦根城表御殿の天光室、玄宮園内の鳳翔台等の茶室も復元されるなど、情緒および風情のある彦根を形成している。
私たち彦根市民は、井伊直弼公の文化的功績を尊び、彦根に受け継がれてきた茶の湯の歴史、伝統、様式等を大切にするとともに、井伊直弼公が世に示した一期一会の精神を継承し、学び、広めていきたい。特に「幾度同じ人との出会いがあったとしても、その場は二度とないということに思いを致せば、全ての出会いは一生に一度限りの機会となる。だからこそ、誠心誠意人や事物に向き合う。」という一期一会の精神は、私たちが現代社会においても大切にしたい心の在り方であり、広く世界に共有しうる普遍的な考え方として後世に伝えていきたい。
また、茶の湯は、書画、工芸、料理、生花、菓子、建造物、庭園など日本のあらゆる文化とつながりを持つ文化であり、茶の湯との関わりを通して、彦根の新たな魅力を創造し、地域の活力を向上させるとともに、茶の湯・一期一会の文化の継承、定着および普及の促進を図り、もって市民の心豊かな生活の実現および歴史と伝統を生かした文化の香り高いまちの実現を目指し、この条例を制定する。」(前文)
【花】
岐阜県 | 岐阜県花きの振興に関する条例 | 平成26年10月15日公布 | 平成26年10月15日施行 |
北海道 | 北海道花きの振興に関する条例 | 令和2年7月14日公布 | 令和2年7月14日施行 |
広島県福山市 | 福山市ばらのまち条例 | 平成27年9月18日公布 | 平成27年9月18日施行 |
埼玉県鴻巣市 | 平成28年12月19日公布 | 平成28年12月19日施行 |
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群馬県舘林市 | 館林市つつじを愛し保護する条例 | 平成28年12月20日公布 | 平成29年1月1日施行 |
奈良県大淀町 | 大淀町梨の花条例 | 平成30年3月27日公布 | 平成30年4月1日施行 |
〇 岐阜県花きの振興に関する条例
「花きには、その色や香り、園芸等の作業を通じた自然とのふれあいにより、人に潤いと安らぎを与える効用がある。
現代社会は、少子高齢化、人間関係の希薄化等の問題を抱えており、これらの問題に対し、花きを活用することにより、子どもの情操教育、高齢者の生きがいづくり、地域における絆(きずな)づくり等の面で効果が現れることが期待される。
また、岐阜県は、『清流の国づくり』として、全国レベル又は世界レベルのスポーツ大会の開催や観光誘客に取り組んでおり、日本全国又は世界各国から多くの方々が岐阜県を訪れることが見込まれ、これらの方々を岐阜県の花きでおもてなしし、岐阜県に来て良かった、また訪れたいと思ってもらえることが大切である。
このため、県内において花きが安定的に供給されることにより、家庭、学校、地域等県民の生活のあらゆる場面において花きが活用され、県民一人一人に県外からの来訪者を花きでおもてなしする心が育まれることが必要である。
ここに、全ての県民の参加と協働により、花きの振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定する。」(前文)
〇 北海道花きの振興に関する条例
「花きは、その彩りの美しさや香りにより、多くの人々に潤いと安らぎを与え、豊かで健康な暮らしをもたらしている。北海道では、冷涼な気候を生かした花きの生産が国内有数の規模で行われており、高品質な花き産地として高い評価を得ている。
今後も高品質な花きの産地としての評価を維持していくためには、花きの生産、流通及び販売を行う者の担い手不足や高齢化の進行、さらには花きの需要が減少しているといった課題があり、これらの課題に対応していく必要がある。
こうした考え方に立って、花きの振興に関する施策を総合的に推進することにより、花き産業の持続的な発展及び花きを活用した道民の豊かで健康な暮らしの実現を目指し、道民の総意としてこの条例を制定する。」(前文)
〇 福山市ばらのまち条例
「市民及び市は、これまで協働により培ってきたばらのまちづくりの取組をさらに拡充させるとともに、ばらのまちづくりを通じてこれまで引き継がれてきたローズマインド(思いやり・優しさ・助け合いの心)を福山の文化として根付かせ、世界に誇れる『ばらのまち福山』の実現を目指すものとする。」(2条)
〇 鴻巣の花を見て育てて贈ってふれあう花のある生活促進条例
「この条例は、花が人に多くの恵みをもたらすものであることに鑑み、市、事業者及び市民の役割等を定め、見る、育てる、贈る等により鴻巣の花にふれあう習慣の醸成を図り、もって花産業の健全な発展及び心豊かな市民生活の実現に寄与することを目的とする。」(1条)
〇 館林市つつじを愛し保護する条例
「本市のつつじが岡公園は、先人の英知と努力によって歴史を刻み、つつじを愛する多くの人々の情熱に支えられて、華麗な花を咲かせるつつじの名園として今日を迎えています。市民はこの公園を昔から花山と呼び、親しみを持って受け継いできました。歴史的にも文化的にも、本市の特筆すべき宝であり、かけがえのない財産となっています。
私たちは、この財産を本市の誇りとして永続的に守り、市民にやすらぎを与える郷土の原風景として後世に引き継いでいかなければなりません。
ここに、本市に関わる全ての人々の参加と協働により、つつじを愛し保護する施策を推進し、及び持続していくため、この条例を制定します。」(前文)
〇 大淀町梨の花条例
「大淀町では、明治中期より大阿太高原一帯で二十世紀梨を中心に種々の梨が栽培され、そのみずみずしく甘みのある実は、大淀町の代表的な特産物として全国的に知られており、毎年多くの観光客が美味しい梨を求めて訪れる。
また梨の花は、春にその白い花を梨山一面に咲かせ、見る人を楽しませてくれており、町は平成3年に「梨花」を大淀町の町花として指定した。
町は、この町花である梨の花をより一層普及させ、町民が梨の花に親しみをもつことで、ふるさと大淀町への愛着と誇りを醸成し、町民及び町が一体となって梨の花によるまちづくりを推進することにより、もって魅力あるまちづくりの実現を図ることを目的として、ここに条例を制定する。」(前文)
【木】
宮崎県日南市 | 平成25年2月27日公布 | 平成25年4月1日施行 |
〇 飫肥杉材等の地域材利用の促進及び豊かな森づくりに関する条例
「宮崎県は、杉の生産量で全国一位を21年間維持する程の日本最大の林業県であり、今後とも林業の振興に努めなければならない。その中にあってこの中核をなす私たちのまち日南市は、旧飫肥藩の時代より弁甲材として普及した飫肥杉で栄えた伝統が400年余りに渡って脈々と受け継がれており、全国に誇り得る林業文化を今なお形成している。
現在、伐期を迎えた日本林業の再生を図るため政府は、平成22年に公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律を制定した。また日南市もこれを踏まえ、平成23年に『日南市公共建築物における飫肥杉材等利用推進に関する基本方針』を定めた。平成24年には森林法の一部改正に伴い、これまでの森林施業計画に代わり、新たに森林経営計画が創設され、施業の集約化を行い木材生産活動だけでなく、森林の公益的機能の十分な発揮に資する持続的な森林経営の確立に努めることになった。
今日、社会経済の劇的変化により荒廃しつつある中山間地域の資源やそれらが生み出す恩恵が市民共有の財産であることを鑑み、私たち日南市民は、更に踏み込んで日南市が飫肥杉材等の地域材の利用促進を実効的に図ることで、地場産業活性化を強力に推進するモデル都市となることができるようその歴史的使命を認識すると同時に、教育的観点も踏まえながら市民全員で森林や中山間地域を支え、安心して住み続けることができる地域社会の実現を目指すことを決意し、ここに議員提案による条例を制定する。」(前文)
【焼き物】
愛知県高浜市 | 高浜市みんなで三州瓦をひろめよう条例 | 平成26年12月26日公布 | 平成26年12月26日施行 |
岡山県備前市 | みんなで使おう備前焼条例 | 平成28年12月26日公布 | 平成29年1月1日施行 |
岐阜県土岐市 | 土岐市美濃焼のまち条例 | 平成30年10月1日公布 | 平成30年10月1日施行 |
〇 高浜市みんなで三州瓦をひろめよう条例
「三州瓦は、古くから日本の建築において主要な役割を果たし、高浜市における発展の礎となって地域経済の成長を支え、高浜市の伝統文化に関する理解を深めるものとしてその意義を一層高めるとともに、豊かな市民生活の実現に重要な役割を担ってきました。
私たちは、三州瓦が郷土の産業であることに誇りを持ち、三州瓦の積極的な利用に努めることにより、高浜市の窯業及び伝統文化に対する理解の増進並びに伝統技術の継承を図り、三州瓦の振興を通じた地域経済及び地域社会の活性化を推進するため、この条例を制定します。」(前文)
〇 みんなで使おう備前焼条例
「備前焼は、無ゆう焼締めの陶器として備前の地で脈々とその技術と伝統が受け継がれてきました。郷土に根差した伝統工芸であり、焼き物のまち備前の象徴でもある備前焼は市民の誇りです。このような伝統ある備前焼の里である備前市は、その技術と伝統を後世に引き継いでいく責務があります。
ここに、市は、市民と一体となって備前焼の普及と振興に努めることを決意し、この条例を制定します。」(前文)
〇 土岐市美濃焼のまち条例
「土岐市は、1300年以上の伝統と歴史を持つ美濃焼の産地として、全国でも有数の焼き物のまちとして発展し、陶磁器生産量日本一のまちとして広く知られています。
私たちは、土岐市が美濃焼のまちであることに誇りを持ち、美濃焼の積極的な使用及び普及に努めることにより、地域経済の発展及び地域社会の活性化を図るため、この条例を制定します。」(前文)
【祭】
青森県青森市 | 青森ねぶた保存伝承条例 | 平成17年4月1日公布 | 平成17年4月1日施行 |
埼玉県熊谷市 | あついぞ!熊谷お祭り条例 | 平成26年6月30日公布 | 平成26年7月1日施行 |
〇 青森ねぶた保存伝承条例
「青森ねぶたは、青森市の成長とともに、多くの先人の情熱によって引き継がれてきた私たち青森市民共有のかけがえのない財産である。青森市がこれまで直面した戦災や幾多の災害などにおいて、青森ねぶたが、私たち市民の心を団結させ、復興と発展の象徴として、私たちを励ましてきた恩恵と意義は計り知れない。
また、私たち市民は、参加する者、観る者の双方に感動と喜びを共有させる青森ねぶた祭に大きな誇りを持ち、私たち自らの伝統行事であるとともに、多様な交流の機会として多くの人々を招く祭りとなるよう積極的な育成を行ってきた。このような経緯を経て、我が国の代表的な伝統文化と認められ、昭和55年に青森のねぶたとして国の重要無形民俗文化財の指定を受け、今や世界的な評価を得るまでに発展してきた。
この青森ねぶたを、青森市のみならず我が国の歴史、文化等の正しい理解のために欠くことのできない貴重な文化財として、また、青森市に暮らす喜びを表す祝祭行事として、その保存と伝承を適切に行い、公共のための文化的活用に努めることが、私たちの共通の責務である。
今ここに新たな世紀を迎え、私たち市民一人ひとりが、郷土の伝統文化である青森ねぶたに自ら誇りと自信を持ち続け、市民文化の向上に取り組み、青森市の文化、観光の発展及び地域社会活性化の担い手としての使命を果たすため、あらゆる場において青森ねぶたの健全な保存が図られるような社会環境づくりの必要性をあらためて深く認識し、私たちすべての新たな自覚と決意のもとに青森ねぶたが次の世代へ正しく伝承されることを願い、この条例を制定する。」(前文)
〇 あついぞ!熊谷お祭り条例
「私たちのふるさと熊谷には、関東一の祇園(ぎおん)と称される熊谷うちわ祭、戦災復興を願って復活した熊谷花火大会など、先人のたゆみない努力の下、地域に根ざしたお祭りや伝統行事が数多く継承され、市内外から多くの集客を誇っています。
熊谷の伝統と特色ある文化を発信し、熊谷の魅力を伝えるお祭りや伝統行事には、担い手となる地域の人々だけでなく、本市のお祭りや伝統行事を愛し、誇りに思う全ての人々の力が必要です。
よって、本市のすばらしいお祭りや伝統行事を次世代に引き継ぎ、魅力あるふるさと熊谷の活性化に資するため、みんながサポーターとなるべく、あついぞ!熊谷お祭り条例を制定します。」(前文)
本条例については、自治体法務研究2014年冬号CLOSEUP先進・ユニーク条例「あついぞ!熊谷お祭り条例」を参照のこと。
【その他さまざまな地域の特色・地域の資源・地域の誇り】
広島県尾道市 | 尾道市の市技を定める条例(囲碁) | 平成17年12月21日公布 | 平成18年1月10日施行 |
大阪府高槻市 | 高槻市将棋のまち推進条例 | 令和6年9月19日公布 | 令和6年11月17日施行 |
兵庫県宝塚市 | 歌劇のまち宝塚条例 | 平成26年12月18日公布 | 平成26年12月18日施行 |
北海道東川町 | 写真の町に関する条例 | 昭和61年3月24日公布 | 昭和61年3月24日施行 |
福島県只見町 | 只見町只見線にみんなで手をふろう条例 | 平成27年3月27日公布 | 平成27年3月27日施行 |
兵庫県加西市 | 気球の飛ぶまち加西条例 | 平成28年9月26日公布 | 平成28年10月1日施行 |
三重県鳥羽市 | 鳥羽市海女のまち条例 | 平成29年10月2日公布 | 平成29年10月2日施行 |
山形県長井市 | 長井市けん玉を市技に定める条例 | 令和2年10月1日公布 | 令和2年10月1日施行 |
島根県出雲市 | 21世紀出雲「神在月」文化振興条例 | 平成19年公布 | 平成19年施行 |
沖縄県 | しまくとぅばの日に関する条例 | 平成18年3月31日公布 | 平成18年3月31日施行 |
滋賀県 | ビワイチ推進条例 | 令和4年3月25日公布 | 令和4年4月1日施行 |
広島県呉市 | 呉市ヤスリ企業振興条例 | 昭和44年3月20日公布 | 昭和44年4月1日施行 |
埼玉県深谷市 | 深谷市レンガのまちづくり条例 | 平成18年1月1日公布 | 平成18年1月1日施行 |
広島県熊野町 | 筆の日を定める条例 | 平成20年9月12日公布 | 平成20年9月12日施行 |
石川県小松市 | 小松市「珠玉と歩む物語」保護条例 | 平成28年12月20日公布 | 平成29年5月1日施行 |
群馬県桐生市 | 桐生市の誇りである繊維産業を応援する条例 | 平成30年3月23日公布 | 平成30年4月1日施行 |
岡山県井原市 | 井原デニム条例 | 令和3年3月29日公布 | 令和3年3月29日施行 |
神戸市 | 神戸らしいファッション文化を振興する条例 | 令和3年6月17日公布 | 令和3年6月17日施行 |
熊本県 | 熊本県いぐさ・畳の振興に関する条例 | 令和7年3月26日公布 | 令和7年3月26日施行 |
鳥取県 | 日本一の鳥取砂丘を守り育てる条例 | 平成20年10月21日公布 | 平成21年4月1日施行 |
三重県熊野市 | 熊野市丸山千枚田条例 | 平成17年11月1日公布 | 平成17年11月1日施行 |
福岡市 | 福岡市屋台基本条例 | 平成25年7月1日公布 | 平成25年9月1日施行 |
福岡県柳川市 | 柳川市掘割を守り育てる条例 | 平成19年3月27日公布 | 平成19年4月1日施行 |
熊本県山都町 | 令和4年3月10日公布 | 令和74年4月1日施行 |
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東京都府中市 | 令和6年6月28日公布 | 令和6年12月9日施行 |
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島根県美郷町 | バリの町条例 | 令和6年3月22日公布 | 令和6年4月1日施行 |
愛知県岡崎市 | 岡崎市徳川家康公顕彰条例 | 令和6年9月17日公布 | 令和6年9月17日施行 |
〇 尾道市の市技を定める条例(囲碁)
「本市の代表的伝統文化である囲碁の継承・発展に努め、地域文化の創造と振興に資するため、囲碁を市技に定める。」(本則)
(参考)「尾道市因島は、江戸時代、碁聖と謳われた天才棋士『本因坊秀策』生誕の地で、伝統的に囲碁が盛んな地域で、平成9年、全国で初めて『囲碁』を『市技』に制定しました。平成18年1月、尾道市は因島市と合併し、『囲碁』を『市技』として引継ぎ、囲碁文化の保存・継承・創造を基本理念に『囲碁によるまちづくり』に取り組んでいます。」(尾道市囲碁のまちづくり推進協議会HP「囲碁のまち尾道」より)
〇 高槻市将棋のまち推進条例
「我がまち高槻は、古くから西国街道及び淀川の水運を擁する交通の要衝として文化が形成され、安満遺跡や今城塚古墳、芥川城跡といった国が指定する史跡を始め、北摂唯一の近世城郭であった高槻城等の数多くの歴史遺産が所在しており、高槻城の三の丸跡からは江戸時代の小将棋や中将棋の駒が多数発掘され、広く将棋がたしなまれてきた歴史を有している。
本市は、市制を施行してから81年が経過し、将棋盤の升目の数にちなんだ『盤寿』を迎え、さらには公益社団法人日本将棋連盟が設置する関西将棋会館が本市に移転することとなり、西の将棋の聖地として一層の将棋文化の振興と発展に寄与するとともに、将棋を通じて多様な人々が交流を持ち、これまで以上に心豊かで活気に満ちあふれるまちを創造し、発展させていく絶好の機会である。
ここに、本市は世界に誇るべき日本文化である将棋の振興に関する取組を積極的に推し進め、『将棋のまち高槻』として魅力とにぎわいにあふれるまちを実現し、将来にわたり持続的に発展していくことを目指して、この条例を制定する。」(前文)
〇 歌劇のまち宝塚条例
「宝塚歌劇は、大正3年(1914年)の初公演以来、優れた舞台芸術の創造、発信を続け、平成26年(2014年)に100周年を迎えた。
この間、宝塚歌劇の公演が、国内外で展開されることで、宝塚市の知名度が高まるとともに、芸術文化の薫り高い住宅都市のイメージが形成された。
今後も、世代を問わず多くの市民が、宝塚歌劇により親しみを感じられるような環境を育んでいくことが大切である。
宝塚市は、これからのまちづくりにおいて、100年にわたる宝塚歌劇の歴史を尊重しながら、歌劇の『歌劇のまち宝塚』ならではの新たな魅力を創出していくことが求められる。
これからも多くの人が住みたい、訪れたいと思えるまちであり続けられるよう、ここに『歌劇のまち宝塚条例』を制定する。」(前文)
〇 写真の町に関する条例
「この条例は、写真を媒体として、国際的な交流と写真文化を通じ、世界に開かれた自然と文化の調和する活力と潤いに満ちた写真文化首都に相応しい町づくりの推進を図るために、必要な事項を定めるものとする。」(1条)
〇 只見線にみんなで手をふろう条例
「この条例は、広く親しまれているJR只見線の列車(以下「只見線」という。)に手をふる活動を広めることにより、乗客者へおもてなしの気持ちを示し、もって地域住民の只見線に対する愛着を深め、力強く走る只見線を応援することを目的とする。」(1条)
「通勤通学時、農作業中や散歩の時などあらゆる場面で只見線に手をふるよう努めるものとする。」(3条)
同内容の条例が、只見町ほか、福島県柳津町、三島町、金山町及び昭和村並びに新潟県魚沼市においても制定されている。
〇 気球の飛ぶまち加西条例
「加西市は、空を飛ぶ気球から見渡せば、播磨国風土記の時代から変わらないなだらかな山々に囲まれ、豊かな緑と無数のため池が織りなす田園風景が広がっている。
先人たちが歴史と文化を紡いできた古墳や遺跡などもその景観に散りばめられ、自然の豊かさの中、歴史の奥深さとまちの美しさを教えてくれる。
加西の空は、一年を通して穏やかな天候と、変化に富んだ地形風が吹き、豊かな自然の実りをもたらすとともに、気球の飛行に適した恵みを与えてくれる。
かつて、鶉野飛行場から戦地に飛び立った若人たちも同じ風景を目に残していただろう。
そして今、加西の空に穏やかに吹き渡る風に乗り飛ぶ気球は、私たちの希望と可能性を大きく膨らませ、新しい時代の夢の広がりを見せてくれる。
ここに、加西の大空を舞う気球に、市民一人ひとりの夢の実現と元気あふれる地域社会の未来の創造を託すため、本条例を制定する。」(前文)
本条例については、自治体法務研究2017年春号条例制定の事例CASESTUDY「気球の飛ぶまち加西条例」を参照のこと。
〇 鳥羽市海女のまち条例
「鳥羽志摩の海女は、古来より素潜りで貝や海藻を採り、それぞれの地域で生活を支えてきました。海女漁の技術は歴史的価値が認められ、国の重要無形民俗文化財に指定されました。また、鳥羽市は海女さんが日本一多いまちです。
市民は、海女さんを誇り、称えるとともに、海女のさらなる振興をめざし、海女さんを全力で応援することを誓い、ここに条例を制定します。」(前文)
〇 長井市けん玉を市技に定める条例
「けん玉を活用した世界との交流を推進し、けん玉文化の継承を通じて市民の健康づくりや子どもたちの健全育成を図り、けん玉を活かしたまちづくりを推奨するため、けん玉を本市の市技に定める。」(本則)
(参考)「そもそもなぜ長井では、こんなにもけん玉が盛んなのか?長井とけん玉との馴れ初めは、約40年前に遡ります。市内にある有限会社山形工房の創業者鈴木與三郎氏が、日本けん玉協会公認の競技用けん玉の生産に取り組み始めたのがその始まり。山形工房は現在その高い技術力から、全国の生産量7割のシェアを占めるまでに成長し、平成2年12月に長井市日本一奨励に関する規則(平成元年規則第33号)に基づく第4号では正式に競技用けん玉生産日本一と認定されました」(長井市観光ポータルHP「ギネス認定長井のけん玉」より)
〇 21世紀出雲「神在月」文化振興条例
「日本書紀には、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)が天照大御神(あまてらすおおみかみ)に国譲りをしたとき、「現世(うつしよ)の政事(まつりごと)はあなたがお治めください。私は、幽(かく)れたる神事(かみごと)を治めましょう」と申された、との出雲神話のロマンの世界が記されている。「幽れたる神事」とは目に見えない縁を結ぶことであり、それを「治める」とは全国から神々を迎え、和の心をもって仲良く会議を催すことだ、と考えられている。大国主大神をまつる出雲大社(いずもおおやしろ)では、毎年陰暦10月10日には神迎祭(かみむかえさい)、翌11日から17日までは神在祭(かみありさい)が執り行われている。全国各地で「神無月(かんなづき)」と呼ばれる陰暦10月が、八百万(やおよろず)の神々が集まる出雲の地では「神在月(かみありづき)」と呼ばれてきた由縁である。
他方、出雲市は、西谷墳墓群、荒神谷遺跡など古代出雲の文化遺産に源を発し、全国津々浦々の民衆の崇敬を集めてきたこの出雲大社をはじめ、日御碕神社、須佐神社、長浜神社、万九千神社、鰐淵寺、一畑薬師、大寺薬師など全国屈指の歴史文化資源に恵まれている。
今日、若い世代を中心に、わが国の古代文化への関心や思いが希薄になるなか、ギリシャ、ローマ神話に匹敵するこうした出雲神話のロマンの世界と豊かな歴史文化資源が並存する出雲の地において、次代を担う青少年はもとより全市民が、今こそ「バック・トゥー・ベーシック(Back To Basic)」すなわち「基本に返れ」の教えに則り、古代から綿々と続く出雲の歴史・文化を学び、出雲文化を継承・発展させ、ひいては和の心をもって平和な世界を希求することにより、21世紀出雲の発展の道を切り開いていくことが極めて重要な課題となっている。
この際、「神在月」という全国に輝く古代出雲の壮大なロマンを奏でる節目に、教育・芸術文化・スポーツ・産業・観光等さまざまな分野で、古代出雲文化をめぐる学習・交流の場や賑わいの場を市民総参加で創造し、心豊かな出雲文化と躍進する出雲の活力を全国に、さらに全世界に発信していくことを決意し、この条例を制定する。」(前文)
〇 しまくとぅばの日に関する条例
「県内各地域において世代を越えて受け継がれてきたしまくとぅばは、本県文化の基層であり、しまくとぅばを次世代へ継承していくことが重要であることにかんがみ、県民のしまくとぅばに対する関心と理解を深め、もってしまくとぅばの普及の促進を図るため、しまくとぅばの日を設ける。」(1条)
〇 ビワイチ推進条例
「私たちのふるさと滋賀県には、琵琶湖を始めとした雄大な自然のほか、琵琶湖と共生してきた農林水産業、発酵食に代表される食文化、滋賀ならではの歴史、文化芸術、地場産品等の魅力的な観光資源が豊富に存在している。
こうした本県の魅力は、これまでも国内外の多くの人々を惹ひきつけてきたが、自転車を利用して琵琶湖を一周する周遊と湖岸周辺から離れた県内各地の観光地等を周遊するといういわゆるビワイチ・プラスを合わせた、地域を代表する観光ブランドの一つであるビワイチは、本県の旅行業、旅館業や飲食業だけでなく、商工業、農林水産業等の幅広い産業の発展に寄与するとともに、本県の歴史や文化に関する理解を深め、健康、環境、教育などの面からも多様な展開が期待されている。
本県においては、平成30年4月から県内の一般公道において2人乗りのタンデム車で走行することが可能となり、視覚に障害のある人が同乗してビワイチを楽しむことができるようになるなど、ビワイチの楽しみ方は広がりを見せている。また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は多くの人々に夢や感動をもたらし、本県でもホストタウンにおける選手団との交流等を通じて、観戦だけでなく体験することも身近に感じられるようになり、さらに、令和7年には本県で国民スポーツ大会および全国障害者スポーツ大会が開催されるなど、これまで以上にスポーツや身体を動かすことへの関心の高まりが期待されている。
こうした中、令和元年11月にビワイチのうち琵琶湖を一周する経路が国からナショナルサイクルルートの指定を受けたことを好機と捉え、ビワイチを本県を特徴づけるブランドとして最大限に活用して、今後更に国内外からサイクリストが本県に来訪する機会を増加させ、地域住民との交流の機会を増やすことは、観光振興のみならず、本県の地域活性化のために極めて重要である。
私たちは、国、県、市町、県民、ビワイチ関係事業者、ビワイチ推進関係団体等の多様な主体が自主的にビワイチに取り組むとともに、これまで以上に連携して、本県の観光の振興を図り、地域の愛着と誇りに根ざした活力ある地域づくりを進めていくことができるよう、ビワイチを推進していくことを決意し、ここにビワイチ推進条例を制定する。」(前文)
本条例については、自治体法務研究2023年春号CLOSEUP先進・ユニーク条例「ビワイチ推進条例」を参照のこと。
〇 呉市ヤスリ企業振興条例
「この条例は,本市の特産であるヤスリ企業の事業の共同化及び工場の集団化等企業の合理化を強力に推進することによつて,経営基盤の確立及び公害の防止を図ることを目的とする。」(1条)
〇 深谷市レンガのまちづくり条例
「この条例は、レンガを活かしたまちづくりを推進し、もって市の歴史的背景を踏まえた個性と魅力のあるまちづくりに資することを目的とする。」(1条)
〇 筆の日を定める条例
「『筆の都 熊野町』として、筆産業の振興と筆づくり技術の継承・発展に尽力した先人に感謝するとともに、筆の歴史と文化の価値を改めて認識し、町、事業者及び町民が連携して、その魅力を全国に発信することにより、筆文化の振興と筆産業の発展を図るため、筆の日を定める。」(1条)
〇 小松市「珠玉と歩む物語」保護条例
「小松の人々は、弥生時代の碧玉の玉つくりを始まりとして2300年にわたり、金や銅の鉱石、メノウ、オパール、水晶、碧玉の宝石群、良質の凝灰岩石材、九谷焼の陶石等の石の資源の価値を見出し、時代のニーズに応じて、高度な加工技術を磨き上げ、人・モノ・技術が交流する豊かな石の文化を築き上げてきた。
私たちは、これら石の文化を市民共有の財産として大切に守り、未来へ継承するため、この条例を制定する。」(前文)
〇 桐生市の誇りである繊維産業を応援する条例
「桐生市における織物の起こりは古く、奈良時代の初め西暦714年(和銅7年)に絹織物を朝廷に納めたことが続日本紀(しょくにほんぎ)に記されている。「関ヶ原の戦い」では徳川家康の軍旗として大量の織物を僅かな期間で織り上げ、桐生織物の名声はより高いものとなった。江戸時代には「西の西陣、東の桐生」とうたわれ、明治以降においては手織りから高度な機械織りへの移行を経て、桐生市は世界屈指の織都として全盛期を迎えた。昭和中期以降においては海外からの安価品の流入に加え、国民の和装離れも拍車を掛けて織物産業は縮小傾向にあるが、桐生市は現在でもデザイン、撚糸、染め、織、刺しゅう、縫製など繊維に関する全ての工程の技術が集積した全国有数の繊維産地である。
桐生市の伝統産業に関する文化の象徴として着物が挙げられるが、市民の中でも着物を着る機会は減少傾向にあり、特別な日に身に着ける衣服としてだけでなく、織物の繁栄を今に伝えるノコギリ屋根工場などの町並みを生かした着物の似合うまちづくりを推進することにより、日常的に着物を着る機会が増加していくことが望まれる。
私たちは、桐生市の発展を支えた伝統産業を尊重し、織物に代表される繊維産業の文化を守るとともに、伝統産業を積極的に活用する習慣を広め、次の世代に継承していくため、この条例を制定する。」(前文)
〇 井原デニム条例
「井原市は高級デニムの産地として知られている。元来、豊富で美しい水に恵まれているが、平野が狭く、効率的な稲作には不向きであったため、戦国時代末期頃に綿花の栽培が始まったと伝えられている。江戸時代には、藍の栽培を利用しての藍染め織物を手がけ、のちに家内工業としての機織りを地域産業として育ててきたという歴史がある。井原デニムは、多くの人たちの技術の蓄積とたゆまぬ努力の結晶であり、時代に即した商品開発を推進しつつ今日までつないできた賜物である。
私たちは、多くの先人が夢見、あこがれ、受け継いできた歴史や文化に誇りを持ち、井原デニムの魅力を再発見することで新たなる文化を織りなし、また未来へと紡いでいくように取り組んでいかなければならない。」(前文)
〇 神戸らしいファッション文化を振興する条例
「神戸市は、慶応3年の開港以来、諸外国との様々な交流の中から開放的で創造性に富んだ独自の文化と産業を発展させてきた。この独自の文化は、ハイカラ、上質などとイメージされてきた。
昭和48年には全国に先駆けてファッション都市宣言を行い、衣・食・住・遊にわたる生活文化産業全般をファッション産業として振興してきた。その中で、真珠加工、ケミカルシューズ 、アパレル。清酒、洋菓子、パン、コーヒー、スポーツ関連をはじめとする神戸の歴史、自然及び文化を生かし、並びに地域に根差した地場産業等のほか、神戸ワインや、美容関連製品等ファッション性豊かなものがファッション産業として発展してきた。また、神戸の地場産品等は、神戸らしいファッション文化の確立、魅力的な都市イメージの醸成に貢献している。
しかしながら、近 年、流通構造の変化、海外製品との競争激化、消費者ニーズの多様化等、神戸のファッション産業は多くの課題に直面している。
一方、ケミカルシューズ産業では神戸シューズが、清酒産業では灘の酒が、地域団体商標の商標登録(商標法(昭和34年法律第127号)第7条の2第1項に規定する地域団体商標の商標登録をいう。)を受けるなど、競争力の強化、地域経済の活性化に向け、事業者においてそれぞれ取り組まれているところである。
また、新型コロナウイルス感染症拡大により、人々のライフスタイルは大きく変化し、アフターコロナ等への対応が必要とされていることや持続可能な生産と消費の実現を目指すSDGsの取組が世界中で広がっていることなど、これまでとは異なる新たな行動や価値観が求められている。
このような状況を踏まえ、市と事業者が共に、市民に対して神戸の地場産品等の魅力について啓発するよう努めるとともに、市、市民及び事業者が一体となって、大学・専門学校等とも連携しながら、神戸の地場産品等の市内における活用及び普及並びに国内外への効果的な情報発信に努め、神戸らしいファッション文化を振興し、次世代に引き継いでいけるよう、この条例を制定する。」(前文)
〇 熊本県いぐさ・畳の振興に関する条例
「熊本県は、500年以上のいぐさ栽培の歴史を有する日本一の産地として、畳文化を守り支えており、いぐさといえば熊本県産が代表的なものとして広く認知されている。
いぐさ・畳に関する伝統と文化は、国民の生活に深く浸透し、心豊かな生活の実現に重要な役割を担ってきた。
また、いぐさ畳表の持つ、空気浄化・湿度調整機能及びリラックス・安眠効果などの優れた機能性は、現代においても健やかな生活を提供してい
る。
一方で、国産いぐさ・畳産業を取り巻く状況は、住まいの洋風化志向の高まりなどによる畳需要の減少や外国産畳表及び工業畳表との競合、専用
機械の製造中止、資材価格の高騰等により厳しさを増しており、国産いぐさ産地の存続が危ぶまれている。
このような状況の中、熊本県のいぐさ・畳に係る伝統文化を守り、技術を継承していくためには、関係者の自助努力はもちろん、意欲ある生産者や関連事業者を県全体で支援していくことが重要である。
今後、県、市町村、生産者、関係団体、事業者及び県民が一体となっていぐさ産地を守り、畳に関する伝統と文化を将来へ繫いでいくため、この条例を制定する。」(前文)
〇 日本一の鳥取砂丘を守り育てる条例
「鳥取砂丘は、千代川及び日本海の浸食・堆積作用と季節風の吹寄せ力により形成された我が国最大級の海岸砂丘であり、スリバチ、風紋、砂れん等独特の地形や起伏に富んだ景観で知られ、ハマゴウなど固有の砂丘植物も自生する貴重な自然を有する地域である。
しかし、この独特な自然は、長らく鳥取砂丘に人の手が加わるのを妨げたのみならず、周辺に飛砂等の被害をもたらし、それに対抗するため、先人達は多大な労苦と工夫を積み重ねてきた。こうした努力の結果、飛砂防備保安林等が整備されて周辺の農業利用等が進み、本来の姿を留める地域が急速に狭まる中にあっても、鳥取砂丘独特の風物は多くの人々を魅了し、様々な文人墨客が訪れ、文芸作品の舞台等にもなった。
そうした貴重な自然を保護し、人々の保健、休養等に資するべく、本来の姿が保たれている地域を中心に、昭和30年に国指定天然記念物、昭和38年に山陰海岸国立公園の区域に指定された。
しかるに、最近ではその区域内においても砂丘利用者のマナー低下等によりゴミのポイ捨てや砂丘斜面への落書きは後を絶たず、河川、港湾等の整備により砂の供給が減少するとともに、保安林整備等の影響で草原化が進むなど、従来の手法による自然保護の限界を感じさせる事態も生じている。
これに対して、県民参加による鳥取砂丘の除草活動や清掃活動、千代川河口等のしゅんせつ砂を砂丘沖合に供給する事業など、鳥取砂丘の再生を目指す取組が活発化している。また、乾燥地農業の研究拠点が整備され、砂にまつわる文化的な催しも実施されるなど、地域特性を生かした新しい価値や情報の創出と発信の拠点ともなってきている。
このように、鳥取砂丘は、貴重な自然を有するのみならず、先人の努力により特色ある産業・文化活動、学術研究等の拠点ともなっており、非常に多面的な価値を有する県民共有の財産であり、世界に誇れる本県の至宝とも言うべき存在である。このことは、世界ジオパークに認定されたことで、世界中に認められるところとなっている。
このような状況の中、鳥取砂丘の価値を後世に守り伝えていく上で大切なのは、砂丘利用者一人一人が鳥取砂丘の持つ独特の風物への愛着と畏敬の念を共有して節度ある利用に努めるとともに、協力し、連携し合って、自然を守り育てていくことである。
これらが県民を始めとするすべての砂丘利用者が次世代に対して担う責務であるとの認識の下に、人々の協働により鳥取砂丘の保全と再生を推進し、適切な利用を増進することを通じて、その多面的価値の向上を図り、もって貴重な自然を守りつつ社会・経済を発展させてきた本県の象徴として、鳥取砂丘の優れた環境を次世代に確実に引き継いでいくため、この条例を制定する。」(前文)
〇 熊野市丸山千枚田条例
「わたくしたちが誇りにしている地域資源に丸山千枚田がある。千枚田は、祖先から受け継いだ貴重な稲作文化で全国的に稀であり、存在が注目されている。
しかし、千枚田における農作業は、地形上、機械による省力化に限界があり、加えて農業環境の変化もあり、休耕地と荒廃地がみられる。
このような状況の中、この貴重な資源を保護し後世に継承していくことは極めて重要で、併せて有効に活用していくことが、わたくしたちに課せられた責務である。千枚田は、幾百年もの昔、一くわずつ大地を起こし、石を積み上げ、土をあてがいながら営々と2400余枚を造成し、以来、今日まで休むことなく天水を貯え、芝を刈りこんで耕作し、管理してきたのである。
また、ここに住む人たちは、裾野を埋めつくす雲海に朝の英気を養い、暮れなずむ連山の空を赤く染める落日に心を癒しながら、正に、千枚田とともに生き続けてきたのである。歴史は巡り、時は流れたとはいえ諸々の日本農耕文化の原点を内包しているのが千枚田である。
わたくしたちは、ここに先人の英知と偉業を偲びこれを称えるとともに、千枚田に親しみ、愛しつつその保護に一層努力することを宣言し、この条例を制定する。」(前文)
〇 福岡市屋台基本条例
「この条例は、屋台が福岡のまちににぎわいや人々の交流の場を創出し、観光資源としての効用を有していることを踏まえ、屋台の効用の活用及び屋台営業の適正化に関し、基本理念を定め、市、屋台営業者等及び利用者の責務を明らかにするとともに、公共空間における屋台営業に係る施策の基本的な事項を定めることにより、今後も屋台の効用を高め、及び活用するとともに、その前提となる適正な屋台営業を確保することで安全で快適な公共空間及び良好な公衆衛生の確保を図り、もって屋台が市民、地域住民及び観光客に親しまれ、福岡のまちと共生する持続可能な存在となることを目的とする。」(1条)
〇 柳川市掘割を守り育てる条例
「私たちが住む柳川市は、総延長がおよそ930キロメートルにも及ぶ大小の掘割が網の目のように巡り、独特な水郷風景を形成している。この掘割は現代に残された歴史的な文化遺産であり、それが持つ独特な情緒は詩聖・北原白秋の詩歌の母体ともなった。
掘割は、水をためることにより、降り過ぎた雨水を一時遊ばせて内水はん濫を防いだり、農業用水や防火用水等に利用されたりして生産や市民生活と直接にかかわる重要な役割を担っている。この掘割は、先人たちが風土の悪条件と闘い、水と共生していくなかで形成された貴重な柳川市の歴史的財産である。
これまで柳川市では、様々な施策を実施して掘割保全の努力を続けてきたが、近年の社会経済活動の拡大や都市化の進展、生活様式の変化などに伴い、柳川市においても生活排水や事業所排水等による掘割の水質汚濁や景観の変ぼうが進行している。さらに、掘割の水が流れ込む河川や海など周辺環境への影響も懸念されている。
言うまでもなく、すべての人は、健康で安全かつ快適な生活を営むことのできる恵み豊かな水環境を享受する権利を有すると同時に、こうしたかけがえのない水環境を維持し、発展させ、将来の世代に継承していく責務と使命を有することを忘れてはならない。
このような認識のもと、私たちは、市民、事業者及び市が一体となって、美しい柳川市の掘割を守り育て、市民が誇り得る郷土を育てることを決意し、水の憲法ともいえるこの条例を定める。」(1条)
〇 国宝「通潤橋」条例
「この条例は、令和5年6月23日、国の文化審議会において、通潤橋は技術的完成度の極めて高い近世石橋の傑作であり、近世水利土木施設の到達形態の一つを示すとともに、江戸末期に九州で興隆した石橋文化を象徴する土木建造物であり深い文化史的意義が認められるとして国宝に指定するよう答申がなされ、同年9月25日、文化財保護法(・・・)第27条第2項の規定により、通潤橋が国宝に指定されたことに伴い、通潤橋が長い歴史の中で今日まで大切に守り継がれてきた地域社会の営みを象徴する存在であり、たぐいない国民の宝であることを認識し、通潤橋を公共のために大切に保存するとともに、広く公開することにより文化的活用を図ることを目的とする。」(1条)
〇 府中市けやき並木を守り育てる条例
「天然記念物の指定を受けた馬場大門のケヤキ並木は、市の中心部に所在し、訪れる人々を迎える表玄関にふさわしいシンボルであり、長い間大切に受け継がれてきました。
そして、この馬場大門のケヤキ並木を中心とするけやき並木は、多くの人々が行き交い、また、集い、憩うことができる場であり、貴重な財産として、まちの発展に大きく寄与してきました。
しかし、近年は、石積みへの立入りやごみの放置などの迷惑行為が後を絶たず、歴史と風格、潤いのあるけやき並木の良好な環境が損なわれつつあります。
このため、馬場大門のケヤキ並木が大正13年に国の天然記念物に指定されてから、令和6年で100周年を迎えることを契機に、私たちは、かけがえのない財産であるけやき並木の保全及び利用に係る規範意識を自ら高めるとともに、相互の理解と連携の下、協働により美しいけやき並木を守り、育て、次世代に確実に引き継いでいくため、ここにこの条例を制定するものです。
」(前文)
〇 バリの町条例
「私たちの美郷町は、神楽や地域行事などの伝統芸能、山くじらや鮎といった食など「地域に根差した文化を楽しむ心豊かな町」であり、そうした暮らしを通して培われてきた「人と人との結びつきを大切にする町」です。
そして、神楽に代表されるように、頑なに伝統を守るのではなく、柔軟に新たな創造を加えて地域文化を進化させてきました。
このような特質的な風土により美郷町らしい町の活気が生み出されてきました。
1993年(平成5年)に友好姉妹都市提携を結んだバリ島マス村も、ガムランや舞踊、祭、工芸品などの地域文化と地域住民の連帯を大切にする、美郷町と相通じる価値観を持つ村です。
これまで、美郷町とマス村は、草の根の交流を続け、お互いの文化を理解し、親しみ、友好の絆を深めてきました。
そして、マス村を含むバリ島の伝統文化芸術は、西洋芸術との融合をはじめ、伝統を大切にしながらも、常に創造され、洗練され、世界中の人々を惹きつけてきました。
美郷町と親和性の高い気風を持つバリ島の文化を積極的に楽しみ、また、バリ島の文化を愛好する多様な人たちと結びつきの輪を広げ強化する取り組み、すなわち「バリの町」づくりを進めていくことは、美郷町の良さをさらに引き出し、新たな活気を生み出していくことにつながります。
私たちは、ここに「バリの町」を宣言し、物質的な豊かさを超えた「創造性に富んだ心豊かな町」の創造を目指してこの条例を制定します。」(前文)
〇 岡崎市徳川家康公顕彰条例
「岡崎に生まれた徳川家康公は、群雄割拠の戦国時代において、「厭離穢土欣求浄土」という揺るぎない信念を持ち、苦難に耐え、乱世を鎮めて江戸幕府を開き、265年にも及ぶ平和国家の礎を築いた。家康公と志を共にした三河武士もまた、岡崎をふるさととし、日本各地で現代の礎となるまちづくりを行った。
これら以外の功績に目を向けると、八丁味噌に見られる日本の伝統的な食文化の発達や、花火に見られる火薬の平和利用など、敬意と誇りをもって未来に語り伝えるべき偉業は計り知れず、今日の岡崎に生きる市民一人一人の中には、生命を賭して平和を希求した先人たちの風格と誇りが息づいている。
徳川家康公生誕の地に住むわたしたち岡崎市民は、家康公の功績を尊び、三河武士の生き方に想いを寄せ、岡崎市民の名誉にかけて、平和国家を希求し続けることや連綿と続く歴史、文化及び伝統産業を次の世代に守り伝える取組を通じ、希望と活力に満ち、愛される都市の実現を目指し、ここにこの条例を制定する。」(前文)
【参考】
〇 地元で生産された日本酒、ワイン、梅酒、焼酎、泡盛等による乾杯を奨励する乾杯条例については、「乾杯に関する条例」を参照されたい。
〇 また、地域資源の活用と振興に関しては、自治体法務研究2017年春号特集「地域資源の活用と自治体」を参考されたい。