防災対策に関する条例
(令和7年3月26日更新)
【制定状況の概観】
〇 防災対策に関して、基本理念や行政、住民、自主防災組織、事業者等の責務や役割を示すとともに、予防、応急、復旧・復興等の施策を規定する条例を制定している都道府県や市区町村は多い。条例名を、都道府県では防災対策基本条例、防災対策推進条例などとするものが多く、市区町村では防災基本条例、防災対策基本条例、災害対策基本条例、災害に強いまちづくり条例などとするものが多い。地震・震災対策の推進等に関する条例の制定が首都直下型地震、東海・東南海・南海地震等の影響を直接受ける自治体に限定されている(「地震・震災対策に関する条例」参照)のに対して、災害全般を対象にした防災対策に関する条例は全国各地の自治体で制定されている。地震、津波のみならず、台風、豪雨、洪水、土砂災害、大雪、火山噴火などは、わが国のどの自治体でも発生しうるものであるからといえる。
〇 こうした条例のほとんどは、防災対策の基本理念として、住民自身が自らの身を守る、地域住民が互いに助け合って守る、行政が対応するという、「自助」、「共助」、「公助」の考え方を明確に打ち出している。そのうえで、行政のみならず、住民、自主防災組織、事業者等の責務や役割を、単に責務(役割)規定において抽象的に規定するだけではなく、個別の事項に関して具体的に規定するものが多い。全体としてみた場合、行政に関する規定より、住民、自主防災組織、事業者等に関する規定の方が多くなっている傾向がある。これまでのわが国で起きた度重なる災害の教訓として、まずは「自助」、「共助」が求められることが共通の認識となっており、そのことが条文に反映しているものと考えられる。
〇 条文の構成としては、条例名にかかわらず、総則、予防対策、応急対策、復旧・復興対策に分けて、それぞれにおいて行政、住民、自主防災組織、事業者等が対応すべきことを規定するものが多い。また、総則、自助、共助、公助という項目に分け、各主体が対応すべきことを規定するものも少なくない。
〇 防災対策に関して、法律として、災害対策基本法が(昭和38年法律288号)が制定されており、また具体的な対策については、同法、同法施行令等や同法に基づき策定される国や自治体の防災計画等に基づき進められる。自治体が制定する条例は、これらの法令等を踏まえつつ、自治体としての防災対策の基本理念、各主体の役割・責務、施策等を規定するものである。
〇 なお、自治体法務研究は、2008年春号で「災害に強いまちづくり」を、2013年秋号で「大規模災害と自治体の対応」を、2016年冬号で「自治体における地震防災対策~地域防災力の向上を目指して~」をそれぞれ特集しているので、参照されたい。
【都道府県の条例】
〇 まず、都道府県の条例としては、以下のようなものがある。制定順に示す。
香川県 | 平成18年7月15日公布 | 平成18年7月15日施行 |
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宮崎県 | 平成18年9月19日公布 | 平成18年9月19日施行 平成24年3月29日改正施行 |
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愛媛県 | 平成18年12月19日公布 | 平成18年12月19日施行 平成28年3月29日改正施行 |
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鹿児島県 | 平成19年12月25日公布 | 平成20年4月1日施行 平成27年3月24日改正施行 |
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和歌山県 | 平成20年3月24日公布 | 平成20年4月1日施行 |
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岡山県 | 平成20年3月18日公布 | 平成20年3月18日施行 |
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広島県 | 平成21年3月24日公布 | 平成21年3月24日施行 平成27年4月1日改正施行 |
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大分県 | 平成21年3月30日公布 | 平成21年4月1日施行 |
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北海道 | 平成21年3月31日公布 | 平成21年4月1日施行 平成26年4月1日改正施行 |
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鳥取県 | 平成21年7月3日公布 | 平成21年7月3日施行 平成26年4月1日改正施行 平成29年7月7日改正施行 平成30年4月1日改正施行 |
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岩手県 | 平成22年10月15日公布 | 平成23年4月1日施行 平成26年4月1日改正施行 |
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長崎県 | 平成25年3月29日公布 | 平成25年4月1日施行 |
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千葉県 | 平成25年12月26日公布 | 平成26年4月1日施行 |
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栃木県 | 平成26年3月27日公布 | 平成26年4月1日施行 |
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奈良県 | 平成26年3月28日公布 | 平成26年4月1日施行 |
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広島県 | 平成27年3月16日公布 | 平成27年4月1日施行 |
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京都府 | 平成28年8月4日公布 | 平成28年8月4日施行 (一部、平成29年7月1日施行) |
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兵庫県 | 平成29年3月6日改正施行 |
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山形県 | 平成29年3月21日公布 | 平成29年3月21日施行 |
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山梨県 | 平成30年3月29日公布 | 平成30年4月1日施行 |
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三重県 | 令和2年3月24日公布 | 令和2年3月24日施行 |
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新潟県 | 令和3年12月28日公布 | 令和4年4月1日施行 |
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福島県 | 令和7年3月25日公布 | 令和7年3月25日施行 |
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滋賀県 | 令和7年3月26日公布 | 令和7年3月26日施行 |
〇 令和7年3月26日時点で、23道府県で24条例制定されている。このうち、「防災対策基本条例」とするのが8道県、「防災基本条例」とするのが5県である。広島県は、「広島県防災対策基本条例」と「広島県『みんなで減災』県民総ぐるみ運動条例」の2条例を制定している。
〇 制定時期は、平成18年以降となっている。地震・震災対策に関する条例については、東京都では昭和46年に東京都震災予防条例が制定され、平成7年1月の阪神淡路大震災発生後、平成8年に静岡県地震対策推進条例、平成12年に東京都震災対策条例(全部改正)、平成14年に埼玉県震災予防のまちづくり条例が制定されていることに比べると、制定時期は比較的新しい。のみならず、平成18年以降、各道府県で防災対策基本条例や防災対策推進条例などが競うようにして、制定されている。
こうした条例制定の背景としては、平成10年代後半以降、平成16年9月には新潟中越地震が発生しているが、平成16年7月に新潟・福島豪雨及び福井豪雨、平成18年に7月豪雨、平成20年に8月末豪雨、平成21年7月に中国・北部九州豪雨、平成23年3月に東日本大震災が発生するなど、地震のみならず、台風、豪雨等が多発し、全国に大きな被害をもたらしたことがあげられる。今後における地球温暖化の進行に伴う影響も懸念され、また、南海トラフ地震、首都直下型地震、各地域の活断層に起因する地震等がいつ発生するかわからない状況のもとで、地震を含む自然災害全般を視野に入れて災害対策を予防措置も含めて的確に講じることの必要性と、自助、共助、公助の考え方に基づき、行政のみならず住民、地域社会、企業等が日頃から防災、減災対策に取り組むことの重要性が改めて認識され、それが条例制定につながったものと考えられる。
ちなみに、香川県条例は「平成16年に県内に甚大な被害をもたらした台風災害を受け、本県でも防災対策が重要であることが改めて認識された。」、宮崎県条例は「平成17年に宮崎県を襲った台風第14号は、多くの尊い命を奪い、県内に甚大な被害をもたらした。」、愛媛県条例は「平成16年に愛媛県を襲った一連の台風が、26名の尊い命を奪い、県内に甚大な被害をもたらした」、鹿児島県条例は「平成5年の鹿児島豪雨災害や平成9年の針原川土石流災害,県北西部地震,平成18年の県北部豪雨災害などにより,多くの県民の尊い命と貴重な財産が失われた。」、和歌山県条例は「近い将来、東南海・南海地震の発生の可能性が極めて高いとされる」、広島県条例は「全国で最多の土砂災害危険箇所を有する本県においては、ひとたび災害が起これば、その被害は甚大なものとなる」、大分県条例は「大分県は、毎年のように梅雨前線や台風等に伴う集中豪雨、暴風などの風水害に見舞われている。」、北海道条例は「津波によって多くの人命が失われた平成5年の北海道南西沖地震や住民が長期の避難を余儀なくされた平成12年の有珠山噴火、全道一円に多大な被害をもたらした平成15年台風10号等は、道民の記憶に深く刻まれている。」、福島県条例は「福島県は、平成23年3月11日に発生した東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故による未曽有の複合災害による影響が、今もなお継続している状況で、復興・創生への取組を進めている。そのような状況の中、令和元年東日本台風をはじめ、令和2年、令和4年と連続して発生した福島県沖を震源とする地震、令和5年台風第13号に伴う大雨等、度重なる自然災害に見舞われてきた。」などと、それぞれ前文で条例制定の背景(の一部)を記述している。これらの記述を見ると、日本が災害列島であるとの感を一層強くする。
〇 多くの条例は、予防対策、応急対策、復旧・復興対策に分けて、それぞれにおいて行政、住民、自主防災組織、事業者等が対応すべきことを総合的に規定している。
一方、宮崎県条例は、予防対策、応急対策、復旧・復興対策と併せて風水害と地震・津波災害の減災対策についても別途規定し、鳥取県条例は、県民活動の促進、災害又は危機に強いまちづくり、被災者の支援、関係者相互の連携との項目ごとに、京都府条例は、災害危険情報の共有、災害に強いまちづくり、災害に強い人づくり、災害発生時の体制づくりとの項目ごとに、山形県条例は県民、事業者、学校等、自主防災組織等、県及び市町村の各主体ごとに、福島県条例は県民、事業者、自主防災組織等、防災士、防災ボランティア、非営利支援団体、社会福祉協議会、消防団、学校等、市町村及び県の各主体ごとに、それぞれ規定を置いている。
また、大分県条例、岩手県条例及び「広島県『みんなで減災』県民総ぐるみ運動条例」は、防災・減災に関する県民運動や県民活動の促進を目的としており、自助及び共助に重点を置いて規定を置いている。兵庫県条例は、防災・減災の推進に関して、県、市町、事業者、自主防災組織、県民等の基本的な取組みのみを規定している。
〇 これらの条例のうち、香川県条例は、平成16年の台風災害で甚大な被害を受けたことが制定の契機となっており、「全国ではじめて地震や風水害、土砂災害などの自然災害全般を対象にした」条例(自治体法務研究2008年春号条例制定の事例CASESTUDY「香川県防災対策基本条例」)とされる。自助・共助の役割を重視し、自助・共助による災害要望対策及び災害応急対策を規定し、公助が中心となる復旧・復興対策については定めていないとしている。
北海道条例は、平成21年3月に制定されているが、東日本大震災の後、平成26年4月に改正施行されている。改正の検討状況、内容等については、北海道HP「北海道防災対策基本条例」を参照されたい。
鳥取県条例は、平成21年7月に制定されたが、東日本大震災の後、平成26年4月に改正施行され、さらに平成28年10月に発生した鳥取県中部地震の後、平成29年7月と平成30年4月の二度にわたり改正施行されている。改正の内容等については、自治体法務研究2019年春号CLOSEUP先進・ユニーク条例「鳥取県防災及び危機管理に関する基本条例」を参照されたい。
広島県は、「広島県防災対策基本条例」を平成21年3月に制定しているが、平成26年8月に広島市で大規模な土砂災害が発生し75名が死亡するなどの多大な被害をもたらしたことから、県民,自主防災組織,事業者,行政等が一体となって減災の県民運動に取り組むこととし、平成27年3月に新たに「広島県『みんなで減災』県民総ぐるみ運動条例」を制定した。
京都府条例は、一定の開発行為に対する行為規制等他の条例には見られない規定を置いている。すなわち、災害危険情報の整備及び公表、宅地建物取引業者に係る特定災害危険情報の提供及び把握等、1ha以上の開発行為者に対する重要開発調整池の設置の義務づけ、大規模な災害が想定される地域における特定地域防災協議会の設置、同協議会における事業計画の作成、特に防災対策が必要な施設の指定等であり、違反行為に対する罰則規定も有する。条例の内容等については、京都府HP「災害からの安全な京都づくり条例」を参照のこと。
兵庫県条例は、阪神・淡路大震災の2か月後の平成17年3月に「ひょうご安全の日を定める条例」を制定したが、県・市町・自主防災組織等の防災減災の取組を一層推進するため、平成29年3月に改正施行し、「ひょうご防災減災推進条例」とした。条例の内容等については、自治体法務研究2019年春号条例制定の事例CASESTUDY「ひょうご防災減災推進条例」を参照のこと。
三重県は、平成16年3月に「三重県地震対策推進条例」を制定したが、平成21年3月に全部改正を行い、「三重県防災対策推進条例」(旧条例)を制定した。さらに、「本条例の制定・・・から10 年が経過する中で、東日本大震災、紀伊半島大水害を始め、熊本地震、平成29年台風第21号、平成30年7月豪雨等、大規模な災害が発生」した(三重県資料「三重県防災対策推進条例の改正について(基本的な考え方)」)こと等を踏まえ、令和2年3月に全部改正を行い、「三重県防災対策推進条例」(現条例)を制定している。旧条例は「全国でも最多の条文数で構成されて」いる(上記三重県資料)とされていたが、現条例も5章、86条から構成され、現行の防災対策に関する条例として最多の条文数を有するものと考えられる。
新潟県条例は、令和3年12月に制定された。条例の内容等については、新潟県HP「「新潟県防災基本条例」と「防災に関する県民行動指針」について」を参照されたい。
福島県条例は、令和7年3月に制定された。条例の制定経緯については、福島県HP「福島県防災基本条例(仮称)検討委員会の開催結果をお知らせします。」を参照されたい。
滋賀県条例は、令和7年3月に、議員提案により、制定された。
〇 令和3年5月に災害対策基本法が改正された(内閣府HP「災害対策基本法等の一部を改正する法律(令和3年法律第30号)」)ことに伴い、改正された条例は多い。
〇 宮崎県、愛媛県、和歌山県、大分県、長崎県及び滋賀県の条例は、議員提案により制定されている。宮崎県及び愛媛県の条例は、東日本大震災の後、一部改正が行われているが、一部改正も議員提案により行われている(宮崎県防災対策推進条例の一部を改正する条例及び愛媛県防災対策基本条例の一部を改正する条例参照)。
〇 なお、一部の都道府県では、防災対策に関連して、災害ボランティアの活動促進や消防防の人材育成に特化した条例も制定しているので、併せて紹介する。
福井県 | 平成17年3月24日公布 | 平成17年4月1日施行 |
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新潟県 | 平成18年3月30日公布 | 平成18年4月1日施行 |
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徳島県 | 平成27年3月16日公布 | 平成27年4月1日施行 |
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茨城県 | 令和2年12月18日公布 | 令和2年12月18日施行 |
である。
条例制定の背景については、福井県条例は「福井県では、平成9年に発生したロシアタンカー油流出事故における災害ボランティア活動の経験を踏まえ、平常時から、県、県民および関係団体が協働して災害ボランティア活動の推進に関する施策を展開してきたところであり、その結果、平成16年7月18日に発生した福井豪雨災害においては、県内を始めとして全国からの多数の災害ボランティアの協力により、迅速な復旧に資するところとなった。・・・県民が誇りをもってこの成果を将来の世代へ継承していくことを決意するとともに、協働の理念に基づいた災害ボランティア活動の重要性を広く全国に発信し、および福井県が災害ボランティア活動の先進県となることを宣言し、この条例を制定する。」(前文)と、新潟県条例は「平成16年に発生した7・13新潟豪雨災害及び新潟県中越大震災において、県内を始めとして全国からの多数の災害ボランティアによる献身的な活動が行われた。・・・災害ボランティア活動が果たした役割の重要性及び迅速かつ円滑な災害ボランティア活動を行うための知識等を全国に発信するとともに、・・・県民が安全に安心して暮らすことができる社会の実現を目指すことを宣言し、この条例を制定する。」(前文)としている。
徳島県条例は、議員提案により制定されている。「消防防災人材」とは「消防団をはじめ、自主防災組織、女性防火クラブ若しくは少年消防クラブに参加し、又はこれらの組織の活動に協力する等地域における防災活動を積極的に推進する者」(2条1号)としている。
茨城県条例も、議員提案により制定されている。前文で「昨今は,県内においても,これまでに経験したことがないような自然災害が頻発しており,その甚大な被害の前に自然の猛威を改めて思い知らされている。・・・我々は,災害時におけるボランティアの活動の重要性を改めて認識し,根付かせるため,その活動において直面する課題の解決や知識経験の共有など,災害時におけるボランティアの活動に資する環境を整備していく必要がある。」としている。
〇 群馬県は、自然災害による死者「ゼロ」や災害時の停電「ゼロ」等の実現を図るため、
群馬県 | 令和4年3月15日公布 |
令和4年3月15日施行 |
を制定している。
本条例は、令和元年12月に行った「ぐんま5つのゼロ宣言」(以下「宣言」という。)を踏まえ、2050年に向けて①自然災害による死者「ゼロ」、②温室効果ガス排出量「ゼロ」、③災害時の停電「ゼロ」、④プラスチックごみ「ゼロ」及び⑤食品ロス「ゼロ」を実現することを目的としている。宣言では、自然災害による死者「ゼロ」について「県土の強靱化とともに、県民の防災意識を高め、自然災害による死者をゼロにする。」、災害時の停電「ゼロ」について「エネルギーの自立・分散化(地産地消)により、災害時にも電力供給を継続する。さらに、地域外への富(電気代)の流出をなくし、地域内で資金循環させる。」としている。
災害レジリエンスを「想定外の大規模な災害時においても、被害を最小化する防災力並びに県民の暮らし及び経済活動を速やかに復旧復興する回復力」(2条11号)と定義づけたうえで、「災害レジリエンスの強化は、安全で安心して暮らすことができ、かつ、安定した経済活動ができる群馬県の実現を旨とし、県土の強靭化(・・・)に向けた防災及び減災に資する取組を推進するとともに、自助(・・・)、共助(・・・)及び公助(・・・)を基本として実施されなければならない。」(12条)とし、防災及び減災対策の推進(13条)及び地域防災力の向上(14条)に関する規定を置いている。、
「ぐんま5つのゼロ宣言」については、群馬県HP「2050年に向け群馬県は『ぐんま5つのゼロ』を宣言します!!」を参照されたい。
【市区町村の条例】
〇 市区町村の条例としては、令和6年12月1日時点で、全国で90以上の条例が確認できる。そのうちの、いくつかを見てみる。
防災基本条例 |
東京都墨田区 |
昭和54年3月14日公布 |
昭和54年3月14日施行 |
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高知県本山町 |
平成22年1月12日公布 |
平成22年4月1日施行 |
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山口県宇部市 |
平成24年3月30日公布 |
平成24年4月1日施行 |
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愛知県岡崎市 |
平成24年10月3日公布 |
平成24年10月3日施行 |
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宮城県石巻市 |
平成26年3月27日公布 |
平成26年4月1日施行 |
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北海道旭川市 |
平成27年3月25日公布 |
平成27年4月1日施行 |
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千葉県睦沢町 |
令和2年3月9日公布 |
令和2年4月1日施行 |
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茨城県常総市 |
令和2年6月5日公布 |
令和2年6月5日施行 |
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熊本県益城町 |
令和3年3月17日公布 |
令和3年3月17日施行 |
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埼玉県戸田市 |
令和3年3月31日公布 |
令和3年3月31日施行 |
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北海道登別市 |
令和3年9月10日公布 |
令和3年9月10日施行 |
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熊本市 |
令和4年9月30日公布 |
令和4年10月1日施行 |
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富山県小矢部市 |
令和6年3月22日公布 |
令和6年3月22日施行 |
岐阜県関市 |
令和6年6月27日公布 |
令和6年6月27日施行 |
庸京都青梅市 |
令和6年9月30日公布 |
令和6年9月30日施行 |
防災条例 |
名古屋市 |
平成18年10月16日公布 |
平成18年10月16日施行 |
相模原市 |
平成26年3月25日公布 |
平成26年4月1日施行 |
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防災対策条例 防災対策基本条例 |
東京都杉並区 |
平成14年3月19日公布 |
平成14年4月1日施行 |
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東京都港区 |
平成23年10月14日公布 |
平成23年10月14日施行 |
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滋賀県大津市 |
平成27年3月20日公布 |
平成27年4月1日施行 |
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三重県四日市市 |
平成30年12月25日公布 |
平成30年12月25日施行 |
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広島県海田町 |
令和2年3月9日公布 |
令和2年3月9日施行 |
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災害対策基本条例 災害対策推進条例 |
東京都荒川区 |
平成14年3月15日公布 |
平成14年3月15日施行 |
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大阪府摂津市 |
平成18年3月31日公布 |
平成18年4月1日施行 |
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秋田県秋田市 |
平成24年3月26日公布 |
平成24年7月1日施行 |
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山形県遊佐町 |
平成28年3月14日公布 |
平成28年4月1日施行 |
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災害対策条例 |
東京都足立区 |
平成13年12月25日公布 |
平成14年1月1日施行 |
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千葉県佐倉市 |
平成14年3月29日公布 |
平成14年4月1日施行 |
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防災・減災条例 |
大阪市 |
平成26年12月1日公布 |
平成27年2月1日施行 |
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長野県岡谷市 |
平成28年3月15日公布 |
平成28年4月1日施行 |
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仙台市 |
平成29年3月10日公布 |
平成29年3月11日施行 |
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広島県熊野町 |
令和2年3月16日公布 |
令和2年4月1日施行 |
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石川県小松市 |
令和2年9月25日公布 |
令和2年12月1日施行 |
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兵庫県猪名川町 |
令和5年3月24日公布 |
令和5年4月1日施行 |
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岐阜県羽島市 |
令和6年3月26日公布 |
令和6年4月1日施行 |
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災害に強い まちづくり条例 地域づくり条例 |
岐阜県中津川市 |
平成23年10月4日公布 |
平成23年10月4日施行 |
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長野県茅野市 |
平成27年3月30日公布 |
平成27年4月1日施行 |
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愛媛県大洲市 |
平成28年9月14日公布 |
平成28年9月14日施行 |
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その他 |
横浜市 |
に関する条例 |
平成25年6月5日公布 |
平成25年6月5日施行 |
新潟県長岡市 |
いのちを守る条例 |
令和6年9月24日公布 |
令和6年10月23日施行 |
奈良県広陵町 |
平成30年6月15日公布 |
平成30年9月1日施行 |
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静岡県掛川市 |
する条例 |
平成31年3月22日公布 |
平成31年4月1日施行 |
〇 条例名は、防災基本条例、防災条例、防災対策条例、防災対策基本条例、災害対策基本条例、災害対策推進条例、災害対策条例、防災・減災条例、災害に強いまちづくり・地域づくり条例など様々である。防災基本条例や災害対策基本条例とするものが比較的多い。
〇 上記の条例のうち、多くの条例は、総則、予防対策、応急対策、復旧・復興対策に分けて、それぞれにおいて行政、住民、自主防災組織、事業者等が対応すべきことを規定しているが、秋田市、遊佐町、岡谷市、仙台市、熊野町の条例は、総則、自助、共助、公助という項目に分けて各主体が対応すべきことを、石巻市条例は、市民、事業者及び市の各主体ごとにその役割や対応すべきことを規定している。また、墨田区、小松市、大洲市、掛川市の条例は、区(市)や区民(市民)の責務(役割)規定を中心に理念的な規定を置いており、睦沢町、登別市、摂津市、海田町の条例は、町(市)や町民(市民)のの責務(役割)のほか基本的な施策について規定している。熊本市条例は自助、共助及び公助を中心に規定し、横浜市条例は自助及び公助に重点を絞って規定している。
〇 制定時期は、東京都特別区と佐倉市の条例を除き、都道府県の条例と同様に、平成18年以降となっている。
このうち、平成26年3月に制定された石巻市条例は、前文で「平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とその後に襲来した巨大津波は、尊い多くの市民の命と幸せな暮らしを一瞬にして奪い、故郷石巻に未曾有の被害・・・をもたらしました。・・・震災の経験から得た知識及び教訓を後世に伝えていくとともに、地域社会における助け合い、国内外の団体及び人々から受けた支援の 絆(きずな)を維持、発展させていくことが私たちの使命であると強く感じています。」とし、平成29年3月に制定された仙台市条例は、前文で「東日本大震災等から得られた教訓は、その後の第三回国連防災世界会議で採択された仙台防災枠組や本市の地域防災計画の見直しなどに生かされているが、これからも地震のみならず、将来、起こり得る自然災害を想定した対応と防災に関する意識の醸成について、不断の努力を続けていく必要がある。」としている。
〇 睦沢町、常総市、海田町、熊野町の条例は、いずれも令和2年に制定されているが、睦沢町条例は「令和元年9月に発生した台風15号から10月25日豪雨までの一連の災害」(前文)、常総市条例は「兵庫平成27年関東・東北豪雨では市域の3分の1が浸水する甚大な被害が発生している」(前文)、海田町条例は「甚大な被害をもたらした平成30年7月豪雨による災害の経験」(9条)、熊野町条例は「平成30年7月豪雨により発生した土石流及び浸水害等は、一瞬にして尊い町民の命を奪い、財産にも甚大な被害をもたらすなど、熊野町にとって過去に経験したことのない災害となりました」(前文)ことなどが、制定の契機になっている。
益城町条例は、令和3年に制定されたが、「平成28年熊本地震から5年の節目を迎えるにあたり、また、日本各地において、地震による甚大な被害に加え、これまでに経験したことのないような暴風や豪雨による甚大な被害が発生していることを踏まえ」制定されている(益城町HP「防災基本条例を策定しました」参照)。
また、熊本市条例は、令和4年に制定されたが、「平成28年熊本地震では、我が国観測史上初となる2度にわたる大規模な地震により、多くのかけがえのない生命が失われ、甚大な被害をもたらした」(前文)ことが制定の契機となっており、毎年4月16日を「熊本地震の日」(16条)と定めている。
小矢部市条例は、令和6年に制定されたが、「令和5年7月の、富山県内ではじめてとなる線状降水帯による豪雨、また、令和6年1月に発生した能登半島地震により、本市においては、未曾有の甚大かつ深刻な被害を被った」(前文)ことが制定の契機となっている。
〇 東京都特別区の条例は、墨田区条例が昭和54年、足立区条例は平成13年、杉並区条例及び荒川区条例が平成14年と比較的早い時期に制定されている。これは、東京都、他の特別区及び首都圏の都市が地震・震災対策に関する条例を昭和40年代以降制定している動きと軌を一にしている(「地震・震災対策に関する条例」を参照されたい)。なお、荒川区条例は、昭和55年に制定された「大地震による延焼火災の防止等に関する条例」が廃止のうえ、制定されている。また、特別区では他に、板橋区(平成14年)、葛飾区(平成15年)、練馬区(平成16年)、千代田区(平成18年)、文京区(平成18年)、世田谷区(平成18年)、目黒区(平成21年)、新宿区(平成25年)、豊島区(平成25年)、品川区(平成26年)で、防災対策に関する条例が制定されている(括弧内は、条例の制定(公布)年である)。
佐倉市条例は、平成14年に制定されているが、平成13年10月の集中豪雨で床上浸水等の被害が発生したことが契機となっている。条例の内容等については、自治体法務研究2008年春号条例制定の事例CASESTUDY「佐倉市災害対策条例」を参照のこと。
〇 岡崎市、登別市、大津市、四日市市、仙台市、横浜市、掛川市、小矢部市及び長岡市の条例は、議員提案により、制定されている。
このうち、大津市条例は、平成22年に議員提案により制定された「大津市防災対策推進条例」を廃止のうえ、同じく議員提案により平成27年に制定されている。「近年多発している記録的な大雨や集中豪雨による自然災害への対応のほか、大規模事故などに対する危機管理、被害を少なくする減災などの考え方が必要になってきた」ことを踏まえ、「これまでの条例を抜本的に見直し」た(大津市HP「大津市災害等対策基本条例」)としている。
なお、静岡市、和歌山市、知多市等においても、議員提案により、防災対策に関する条例が制定されている。
〇 常総市、遊佐町条例、茅野市条例及び小矢部市条例は、災害対策法49条11に基づく避難行動要支援者名簿の作成と避難支援等関係者に対する提供について、規定している(常総市条例12条、遊佐町条例15条、茅野市条例21条~27条、小矢部市条例12条)。なお、避難行動要支援者名簿については「避難行動要支援者名簿に関する条例」を、遊佐町条例については自治体法務研究2019年春号条例制定の事例CASESTUDY「遊佐町災害対策基本条例」を、茅野市条例については自治体法務研究2016年冬号条例制定の事例CASESTUDY「茅野市災害に強い支え合いのまちづくり条例」を、それぞれ参照のこと。なお、遊佐町条例は、令和4年9月20日改正施行により、災害対策法49条14に基づく個別避難計画の作成と避難支援等関係者に対する提供についても、規定している(15条の2)。
〇 戸田市条例は、令和元年に「戸田市防災基本条例検討市民会議」が設置され、同会議での議論をもとに条例案が作成されており(戸田市HP「戸田市防災基本条例検討市民会議のあゆみ」参照)、熊本市条例は、令和3年に「熊本市防災基本条例(仮称)検討委員会」が設置され、同委員会で条例案の内容等が検討されている(熊本市HP「熊本市防災基本条例(仮称)検討委員会について(検討内容・議事概要)」参照)。
また、関市条例は令和4年に「関市防災基本条例策定専門委員会」が設置され(関市HP「関市防災基本条例を公布しました」参照)、羽島市条例は令和5年に「羽島市防災会議条例専門部会」が設置され(羽島市HP「命と暮らしを守る羽島市民の防災減災条例」参照)、長岡市条例は令和6年に「市民防災条例(仮称)制定検討委員会」が設置され(長岡市HP「長岡市自助・共助の意識を高め市民のいのちを守る条例について」参照)、条例案の検討がなされている。
(関連する市町村条例)
〇 なお、自主(住民)防災組織の育成に特化した条例を制定している自治体もある。
東京都墨田区 | 昭和51年9月30日公布 | 昭和51年10月1日施行 |
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千葉県栄町 | 昭和63年3月12日公布 | 昭和63年4月1日施行 |
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福岡県須恵町 | 平成30年9月14日公布 | 平成30年9月14日施行 |
などである。
〇 栃木県佐野市は、災害ボランティア活動の推進のため、
栃木県佐野市 | 令和3年6月21日公布 | 令和3年7月1日施行 |
を制定した。
〇 また、災害復興に関する条例が一部自治体で制定されている。
東京都墨田区 | 平成16年6月30日公布 | 平成16年6月30日施行 |
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岩手県大槌町 | 平成23年9月30日公布 | 平成23年9月30日施行 |
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神奈川県藤沢市 | 平成26年12月18日公布 | 平成26年12月18日施行 |
などである。
このうち、大槌町条例は、東日本大震災の約半年後の平成23年9月に制定されている。
〇 石川県金沢市は、災害を未然に防止するとともに災害発生時に被害拡大を防ぐための施設整備に関して、
石川県金沢市 | 平成15年3月24日公布 | 平成15年4月1日施行 |
を制定している。
公共施設、建築物、伝統的建造物、がけ、避難路等の安全確保について規定するとともに、 市民や土地権利者による地区施設整備計画の策定や市長との防災まちづくり協定の締結等について定めている。
〇 大阪府箕面市は、災害時における特別対応に関して、
大阪府箕面市 | 平成24年3月28日公布 | 平成24年3月28日施行 |
を制定している。
大規模な災害の発生時において、災害対策本部長(市長)が特別対応の宣言を行い、通常事務の休止、公の施設の休館、使用許可の取消し、契約に係る義務履行の期限延長、処分等の期限延長、歳入の納付期限延長等を行うことができるとするとともに、あらかじめ要安否確認者の名簿を作成したうえで、地区防災委員会に交付し、大規模な災害の発生時に名簿を開封して安否確認を行うこととしている。同条例の内容等については、箕面市HP「災害時特別宣言条例」を参照されたい。